選ばれた子供達

@k2020

第1話

「皆さん朝食の準備ができましたよ。起きてください。」


誰かの声が聞こえる。

重い目蓋を開くと人影があった。

正確には人ではない。例えるならば獣人だ。

狼のような顔に、白銀に輝く体毛、長い尻尾、鋭い爪を持っていた。


「***さん起きてください。」


名前は聞き取れなかったが、獣人は落ち着いた優しい声をしていた。

自分は眠たくて起き上がる事ができない。


「***起きてください。スープが冷めてしまいますよ。」


再び声を発し、私の肩を揺すった。

名前は聞き取れない。


「仕方がないですね。先に皆さんといただいてますね。目が覚めたら下に降りてきてください。」


そう言うと、獣人は私の頭を数回撫で出て行った。

私は再び目蓋を閉じた。


しかし、大きな爆発音で目を覚ました。

私は暗闇に立っていて、右手には拳銃を握っていた。

目の前にはあの獣人が仰向けに倒れていた。


私の右手は勝手に獣人の頭に照準を合わせ始めた。

私は抵抗したが、何故か言う事を聞いてくれない。

獣人は半開きの眼で私を見ていた。

綺麗で優しい目をしていた。

そして、大きな口で小さな声を発した。


「____」


私は引き金を引いた。


目が覚めると、ベッドに横になっていた。

この夢を見るのは何度目か分からなかった。


私は冷蔵庫から水を出し一気に飲み干した。


その時、電話が鳴った。

電話の相手は男だった。


?「緊急だ。10分以内に来てくれ。」


そう言うと電話は切れた。

私はジャケットを羽織り目的地へ向かった。


私が向かったのは『脅威制御機構(Threat Control Sgency)』通称:TCSのアメリカ本部だ。

とある事件をきっかけに、世界の各国の政府が協力し作られた国際機密機構である。

テロだけではなく世界的に猛威となりうる様々な対象を制御する為に設立された。


私がに指令室に入ると、男が話しかけて来た。

私に電話を掛けてきた男であり名前はライアンだ。


ライアン「待っていたぞ!地中海にある海上研究施設にてトラブルが発生した。」


*「詳細は?」


ライアン「現在掴めているのは、約40分前に施設からの通信が全て途絶え、外部からのコネクトも遮断されているという事だ。」


*「部隊は送ったのか?」


ライアン「ああ。しかし、既にコンタクトが途絶えた。」


*「それで私を召集したのか。」


ライアン

「そうだ。なるべく内部にて''穏便''に解決させたい。施設内では最高機密の研究が行われているからな。君なら単独で内部に潜入し状況を回復させる事が可能だろう。」


私は黙っていた。

脳裏にある人物達が過ぎる。


ライアン「仮にテロリストによる犯行ならば全員消して構わない。」


私は首を縦に振った。

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