第52話書きたくてしょうがない病
とある男のとある正月、家で独りでぼーっとしていた
すると、なにやらいきなり頭の中に物語が降ってきた
「なんだ、この壮大な物語は?」
男はとまどうと共に、この物語を書きたくてしょうがなくなった
男は机に向かうとノートパソコンを立ち上げ、投稿サイトというものを探し始めた
とあるサイトの評判がいいようなので、登録し、さっそく物語を書き始めた
その物語は不運で貧乏な男が、善意だけで王にのしあがるというお話
この主人公、お人好しなので、騙されてばかりだが、次第に人望が集まり、優秀な人材が揃い、王国を築くというもの
男は夢中で執筆しまくった
時を忘れて、なにもかも忘れてただただ執筆する
男は正月が終わっても執筆し続けた
なんと仕事を辞め、自宅にこもって、どんどん書き続ける
なにがここまでこの男を突き動かすのか?
正月が終わり、いつしか春が訪れ、そして、夏が来て、秋が終わった
男は書き続けた
すると、少しづつではあるが、PVが増えていき、好意的なコメントも来るようになった
男は次の年も書き続け、またさらに次の年も
なんと三年間、書き続けた
物語のクライマックスは、お人好しというだけの男が、有能な部下に囲まれ、
民衆が王に永遠の忠誠を誓って終わる
ついに、男の筆は止まった
物語が完成したのである
男は鏡で自分の顔を見ると、髪は延び放題、髭ははやしほうだい
まぁ、ひどかった
「ああ、ひげ剃ろう」
と言ったきり、男は倒れた
そして、男の人生は終わった
男の死後、男が執筆した物語はネット上で大勢の民衆に読み継がれ、
伝説となったのであった
物語、はじまり、はじまり ポンポコ @ad1245ad
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