第2話
あのイケメンが転校してきた日の放課後、今日も今日とてお馴染みの3人で帰っていた。
「「「なんだあの完璧超人」」」
そう。あのイケメンは顔面偏差値が高いだけでなく、性格、運動神経、全てにおいてハイスペックだった。
「アイツ、雄志よりも運動神経いいかもしれないぞ」
「何言ってんだ、俺の方が運動神経いいに決まってる」
「いや、お前あれ見ただろ」
「見たけどさ…」
俺達の言う「あれ」とはもちろん例のイケメンについての事だ
「アイツ、まさか今日のスポーツテストで全部8割以上取るとはな…」
「ぐっ、アイツは万能型で俺は一点特化型なんだよ」
「バランスが良ければ一点特化よりも柔軟に対応できるだろ」
「やめろぉ!俺のメンタルを削るんじゃねぇ!」
「しっかし、何したらあんな風になれるのかしら…」
「あれはもはや天才って呼ぶべきだろ」
「少しくらいあのステータス分けてもらいたいわ…」
「全くだ」
「うぉぉぉぉお!」
「どうした雄志、急に叫ぶなよ、だから友達できないんだぞ」
「全く、そんな事するから雄志はモテないのよ?」
「お前ら後で覚えてろよ!?」
雄志は咳払いし、続けて言った
「確かにアイツには運動神経じゃ負けてるかもしれねぇ!でも!学力で勝ってやる!」
「お前そこまで学力高くないだろ」
「あのイケメンには負けてたかもしれないけど、雄志には雄志にしかない良いところがあるから、大丈夫よ。心配しないで」
「お前ら本当に覚えてろよ!?」
そんな会話をしながら、俺はアイツについての情報を整理していた。
アイツの名前は臣田 千。180程もある高身長。家はかなり近い。家が近いのに俺達の学校に来ていなかった所を見ると、やはり引っ越して来たのだろう。
…ここまで考えてふと思った。ここまでしか情報が無い。好きな食べ物といった、自己紹介にありがちな情報でさえアイツは言ってなかった。普通、家の位置は言うのに、好きな食べ物を言わないなんて事があるだろうか?何か隠している。そう思うのは疑い過ぎ、もしくはラノベの読み過ぎだろうか。
「辰也?どうしたの?」
「あ、いや、アイツについて考えてた所だ。心配かけたならすまない」
「いや、心配はして無いけど、頭おかしくなったのかなって」
「お前本当に辛辣だよな」
「俺から言わせればお前も十分辛辣だぞ」
まぁ、考え過ぎだろう
あの頃よりも ダブルス @applefromapple
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