第1話

「出欠とるぞー。お前ら席に着けー。」

担任の声を聞きながらも、クラスの面々は喋り続けている。担任の顔が赤くなるのを見ながら、俺はもう一度寝ようと頭を下げて、


「お前ら、席に着けーーー!」


担任の叫び声で中断させられてしまった。



俺の名前は十文字 辰也、寝ることに命を賭けてる只の高校生だ。


俺は今度こそ寝ようと頭を下げて



「十文字なに寝ようとしとるんだ!」


俺はまだ寝れないらしい。



「おい、辰也また先生に職員室呼ばれたんだってな。今月何回目だ?」

「まだたった3回だ。」

「まだ半月しかったってないじゃないか。」


あきれた顔でこっちを見てくるのは中学からの友達の掛田 雄志。イケメンでスポーツ万能なのにそれを打ち消すほど自分の欲に素直で、思ったことはどんなことでも率直に伝えるので友達ができない残念なやつである。



「それでこそ辰也よ!」


と、何故か得意気な顔をしてこっちを見てくるのは同じく中学からの友達の瑠璃 リルだ。いつもどや顔しかないというやつだ。普通にしてたら美人なのだが。僕のまわりには残念なやつしか来ないのだろうか?


俺たちの学校からこの神野学園に来たのはこの三人だけで中学の時以上に絡んでいる。といっても親しい友と言えるのはこの二人だけなのではあるが。


「辰也、あの話し聞いてたよな?」

「あの話って?」

「馬鹿ね雄志。辰也が起きてた訳ないじゃん。」

「そうだぞー雄志。俺が担任の話を聞くのをとるか寝るのをとるか聞かれたら寝るって答えるに決まっているじゃないか。」

「お前ってやつは、話ってのは明日転校生が来るって話だよ。やっぱり美少女とか来るのかな?」

「あのなー、そんなのが通用するのは小説の中だけだ。」

「夢を見るくらいはいいだろうが。」

「例え美女が来たとしても、あんたみたいの相手にする訳ないでしょうが。」

「二人ともひどい。」

「アホはほっといて帰りましょう。」

「そうだな。」

「待て、お前らーーー。ちょ、マジでー」




「お前ら席に着けー。」


今日も今日とて担任の声がうるさい。なんでいつもあんな元気なのだろうか?


「今日は大切な話があるぞー。」


そんな声を聞いて静かになるクラス。俺が言うのも何だが、現金な奴らである。


「じゃー、入ってこいー。」




そして入ってきたのは………




イケメンだった



後ろの方から「そうじゃないだろー。」という叫び声が聞こえるが。

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