2 おはよう。もう、朝(目覚める時間)だよ。起きて。
おはよう。もう、朝(目覚める時間)だよ。起きて。
『おはようございます』
「……うん。おはよう」
先ほど目を覚ましたばかりの真っ白な女の子はそういった。
部屋の中には女の子一人しかいない。
でも、確かに女の子に声をかけた存在がいる。その存在はディスプレイの中にいた。
そこには、一羽の小鳥がいた。
真っ白な色をした、青い目をした小鳥だ。
その小鳥はじっと、真っ白なディスプレイの中から、真っ白な椅子の上に座っている女の子のことをじっと見つめていた。
『今日の目覚めはどうですか? 月』
「うん。まだ少しだけ眠い」
瞼をこすりながら月と呼ばれた女の子は青色の目をした小鳥にそういった。
『睡眠時間は十分に取れています。眠気はすぐになくなりますよ』くすくすと笑いながら、青色の目をした小鳥はそういった。
「うん。わかった」
にっこりと笑って、真っ白な椅子の上に座っている真っ白な女の子は、その『檸檬のような黄色い色をした瞳』をディスプレイの中にいる青色の目をした小鳥に向けてそういった。
『月。今日はどんなお話をしましょうか?』
青色の目をした小鳥は月に向かってそういった。
「えっと、この間はどんなお話をしたっけ? ……命の話、……人はどうして生きるのか、のお話だっけ?」
なんだかとっても難しそうな顔をして月はいった。
『はい。命のお話をしました。それから幸せについてのお話もしましたね。もう忘れてしまいましたか?』小鳥は言う。
「まだ覚えてるよ。……まあ、ちょっとは忘れちゃったけど」
にっこりと笑って月はいった。
『まあ。しょうがないですね』やっぱり、にっこりと笑って青い目をした小鳥はいった。
それから月も小鳥と同じように楽しそうな顔をして笑った。(そうやって二人は少しの間、真っ白な部屋の中でくすくすと笑いあった)
「えっと、じゃあね。今日のお話は小鳥が決めていいよ。小鳥のお話したいお話を聞く」月はいった。(どんなお話でもいいのだ。月はただ、お話を聞いて、また再び深い眠りにつくだけなのだから)
『わかりました。じゃあ、今日のお話は『空の話』にしましょう』小鳥はいった。
「空? 空ってなに?」
『なにもない場所のことですよ。そして、私が生まれて、私が育った場所でもあります』
小鳥はいった。
「なんだ。じゃあ、この場所と空は同じだね」とにっこりと笑って月はいった。
空の色 雨世界 @amesekai
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