第11話 初めての冒険者登録とあの日の続き
俺は、受付嬢に連れられて冒険者ギルドに着いた。
「なんですかいきなり‼」
「君に用事が二つあるの‼では、ギルドマスター、お願いします。」
「ああ。まずは、英雄イチガザキケンヤ様、我が町と、冒険者を守っていただき、ありがとうございました。」
「いや、そんな大したことやってないですから。頭をお上げください。」
「それで報酬なんですが、金貨10億枚になります。どうぞお受け取り……」
「いや、いらないです。」
「はい?」
「だから、この金があれば、町が復旧できますよね。なら、そのためにお使いください。」
「ああ……なんと心の広いお方だ……」
感動したのか、ギルドマスターは、泣き崩れてしまった。
「では、ありがたく、町の復旧のため、使用させていただきます。」
「あ、それと。」
「まだ何か?」
「俺を英雄なんて呼ぶのやめていただけますか?恥ずかしいので。」
「滅相もない‼あなた様は、唯一無二の英雄でございますよ。この国の、いや、世界の破滅を回避させたのですから。」
「いや、俺としては、英雄なんて呼ばれると、町を気軽に出歩くことができなくなるので、やめてください。あと、俺を英雄なんて言ってたら、他の奴らは、神と崇めることになりますよ。」
「そうですか。ならば、救世主とお呼びいたします。」
さらに厨二臭くなっちまった~‼
「もうそれでいいですよ。」
「では、次に冒険者登録をしていただきます。」
さっきの受付嬢さんが割り込んできた。
「冒険者登録?これじゃダメなのか?」
俺はステータスカードを出した。
「そちらでは、身分証の役割を果たしません。なので、他の国に行かれるのでしたら、冒険者カードを持っていた方が楽ですよ。入国審査パスできますし。」
「えっ⁉」
「なので、登録しましょう。いや、登録するしかないでしょ‼」
「そうよ、登録しておくべきだわ。」
「お前、いつ追いついた。」
「さっき、ケンヤ君が、厨二臭いセリフ言っていた時かしら。」
「クッソ、聞いていやがったな‼」
「もちろん。でも、カッコよかったわよ。」
「それはいつもだ。」
「出たわナルシスト。」
「おい、男はみんなこんなもんだぞ‼」
「あの~、イチャついているところすみませんが、」
「あっ……」「んっ……」
「登録しませんか?」
「します。登録しますよ。」
「では、こちらの水晶に触れていただいてもよろしいですか?」
「はい。」
俺は水晶に触れた。
「はい、もう大丈夫ですよ。」
「え、これだけ?」
「はい。以上で登録終了です。こちらが、クラスペンダントです。イチガサキケンヤ様の場合、もうすでにプラチナランクですよ。」
「そうですか。」
「では次にお連れ様も、どうぞ。」
「はい。」
「はい大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
「こちらがクラスペンダントになりま……す。アキサカヒカリ様も同じくプラチナランクの冒険者です。」
「「「「「「「「「「「「えーっ‼」」」」」」」」」」」
まあ、そうだろうと思っていたのは、俺だけだった。
「では、こちらをどうぞ。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ、俺たちは帰ります。」
「失礼します。」
「はい……」
俺たちは、冒険者ギルドを後にした。
その後、ギルドでは、この話題で飲む人が100%状態だったそうだ。
俺たちは場所を変え、灯台のふもとまで来ていた。
「なんだったんだろうな。」
「そうね。」
「さっきも言ったけど、3日後から、旅に出る。」
「わかってるわよ。」
「だから、俺が死んだら、新しい契約者を……」
「それはできない約束ね。」
「どうしてだ。」
「あなたが死ぬとき、必ずという確率で、私も死ぬからよ。」
「そう……なのか?」
「そうに決まっているじゃない。契約者がいないと、私、武器になれないし。」
「そうだな。じゃあ、俺たちは運命共同体ってわけか。」
「簡単に言えばそうね。」
「なら、今後ともよろしくな。」
「なんだか、死亡フラグが立ちそうね。」
「そうだな……」
「ウフフ」「ハハハ」
俺たちはお互いに笑いあった。
「じゃあ、向こうにいるときに言えなかった言葉を言うよ。」
「はい。」
「俺は、秋坂聖光のことが、3年間、ずっと好きでした。」
「知ってた。」
「今も現在進行形で大好きです。」
「それも知ってる。」
「俺は今、秋坂聖光のことを、愛しています。」
「そう、なの……?」
「こっちにいる間も、向こうに帰っても、俺と一緒にいてください。」
「はい、もちろんっ‼」
この時見せてくれた最高の笑顔を、俺は一生忘れることは無いと思う。
「よっしゃあああああああ‼」
俺は、海に向かって叫んだ。
「私も、ケンヤ君のことが大好きで~す‼」
ヒカリも叫んだ。
やはり、俺たちはまだ、気持ちは学生なんだな。
「じゃあ、帰ろうか。」
俺は、腕を出した。今度はビビらない。そう決めていたんだ。
「うんっ‼」
ヒカリは、勢いよく飛びついて来た。
「何だかんだ寂しがり屋さんなんだな。」
「私はものすごく寂しがり屋なんだから。」
「そうだな。帰ったらたくさん相手してやるよ。」
「本当っ‼やった~……」
俺たちは、こんな会話をしながら、城へ戻った。
「お、遅かったじゃないか。もう始まってるぞ。」
「すまない、刀俄。着替えるのに手間取っていたからさ。」
「おう、ところで、秋坂。超似合ってるぞ、ドレス。」
「ありがと、ケンヤ君が選んでくれたのよ。」
「ま、けにゃは、ある程度服のセンスがあるけど、今日のドレスは別の感情を感じるな。背中の紐の部分とかに。」
「そういう詮索よくないはよ、早間君。これ以上詮索するのなら、容赦なく、殺すわよ。」
「ごめんなさい。お前の嫁さん、恐ろしいな。」
「いや、最高に可愛いよ……ところで何でお前がそんなこと知ってるんだ?ちょっと裏で話そうか。」
「何怖い顔してるんだよ。今日は楽しい席なんだぞ……」
おれはそのまま刀俄を、裏に連れて行った。
その後、20秒ぐらいで、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ‼」
城中に刀俄の悲鳴が、響き渡った。
会場に入ると、そこには、クラスメイト、魔術学校の生徒、そして、貴族たちが約6万人近くいた。
「では、気を取り直して、本日は、一ヶ嵜剣也様のインフェルノ・ドラゴン討伐の祝勝会にお集まりしていただき、ありがとうございます。ここで、本人である、一ヶ嵜様に挨拶をしていただきましょう。」
は、何も考えてないんだけど。
王女が俺に近づいてきた。そして耳元で、
「あなたの腕の見せ所ですよ。」
と囁いた。しかも、ちょっと色っぽい声色で。
「じゃあ、今夜、楽しみにしてます。」
「頑張ってくれたらね。」
よし、頑張ろう。
俺は、ステージに向かった。
「皆さん、こんばんわ。一ヶ嵜剣也です。先日、インフェルノ・ドラゴンを討伐し、英雄なんて言われていますが、俺が英雄ってわけじゃないんです。俺が勝つことができたのは、最高のパートナーのおかげです。そのパートナーには、感謝しています。そして、これからも、一緒に頑張って行こうと思います。」
その後、中身のないような話を20秒ほど続けた。
「最後に、俺は、パートナーと一緒に少しの間、旅に出ます。この世界のいろいろなものと、各所に伝わる伝承や、武器を手に入れ、さらに強くなって帰ってくることを約束して、俺の言葉とします。ご清聴ありがとうございました。」
その後、俺は、みんなとパーティーを楽しみ、その日は、王女とヒカリとヤってから眠りについた。
_____________________________
(あとがき)
こんにちは、汐風 波沙です。
今回は、最初の日、言おうとしていた言葉を、愛の告白よりも、プロポーズ風に書いてみました。
感想や、アドバイスがあれば、ぜひ、よろしくお願いします。
今後も、この作品と、自分が書いている作品をよろしくお願いします。
性約の剣 汐風 波沙 @groundriku141213
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