第10話 最大の弱点
ここは、どこだ?
ああ、俺は、魔力切れで、ぶっ倒れたんだった……
あの後、俺たちどうなったんだろう?
まあ、残った後処理は冒険者ギルドが何とかしてくれるだろう。
今は、とりあえず、眠い……
「あれ、ここ、どこだ?」
「おはようございます。一ヶ嵜 剣也様。」
「あの後から、どれだけ時間が経ったんだ、王女様。」
「あれから丸二日くらい経ちましたよ。それにしてもびっくりしましたよ。一番期待していなかったあなたが、最強のドラゴンを倒してしまうなんて……」
「微妙に傷つく発言ですね。まあ、実際、倒せたのは俺だけの力じゃないですしね。ヒカリがいなかったら、正直死んでました。」
「そうですか。ところで、あなたは、いったい何者なんですか?」
「昨日も説明しましたよね。俺は元魔術師ですよ。」
「いえ、あなたは、いや、あなたの剣技は、普通の魔術師とは違う何か黒い気配を感じました。」
「そんなもの、何もない。たまたまなんじゃないのか?」
「いえ、私の目は誤魔化せません。」
「何かの能力でもあるのか?」
「はい。私の目には、相手の表面に出ない感情を見ることができる能力があります。つまり、あなたは、私に隠し事は出来ないはずなんですが、あなたの持つ何かは、殺意に近いのですが、全く別のものです。」
「……」
「黙り込みますか……いえ、私は構わないのですよ。別に人間、隠したい事の一つや二つあるものですよ。」
「そうだな。この際だから、俺の秘密を一つ教えてやるよ。」
俺は着ていた服を上だけ脱ぎ、背中を見せた。。
「しっかり見ておけよ。」
魔術廻廊起動 魔術紋章に集中 解放
俺は、紋章を出した。
「……美しい。綺麗な翼ですね。」
「見てほしいのはそこじゃない。少し下の方だ。」
「はい……っ⁉」
「まあ、そりゃあ言葉を失うよな。」
そこにあったのは、通常の魔術紋章とは異なる紋章があったのだ。
「こ、これは、東の国の」
「ああ。この紋章は、九又の不死龍の紋章、通称、限界の紋章。」
「なら、あなたは、これ以上強くなることは、無いという事ですか?」
「ああ。だから、魔力量もこれ以上上がらないし、体力、筋力も上がらない。だから、俺は魔術媒体になる武器を使って、成長せずとも、最大火力の魔術を使えるようにしていたんだ。」
「つまり、武器が頼りになるという事ですね。」
「ああ。だからさ、王女様……」
「改まってどうしたのですか?」
「俺、旅に出ようと思う。」
「はい?」
「この世界のいろんな武器を求めて、旅をして、この世界を救うために必要な力を集めてこようと思う。」
「そうですか……ですが、あなた一人でですか?」
「連れて行っていいなら、ヒカリも連れて行きたい。」
「別に構いませんよ。契約者であるあなたが連れて行くのなら、問題ないでしょう。」
「サンキュー‼」
「ところで、あなたが言っているサンキューとはどういった意味なのでしょうか?」
「ありがとうって意味だよ。俺は最も興奮した感謝の気持ちの時に使う。」
「なら、私も同じように使うとしますよ。」
「じゃあ、3日後に出発する。それまでに、もう一度町に行きたい。」
「秋坂様とご一緒に行ってきていいですよ。」
「じゃあ、明日、見に行ってくるよ。ちょっと寝る。」
俺はひと眠りすることにした。
「そうですね。お疲れですものね。あなたは、我が国の英雄ですよ。」
その言葉を聞き、俺はまた眠りについた。
「……っん?ちょっと狭いような気が……」
俺は目を開けた。すると、そこには可愛らしい寝顔があった。
「ひ、ヒカリ⁉何でここに居るんだよ。」
「っん~、おはよう、ケンヤ君。」
「お、おはよう。もう昼だけどな。」
「そうだね。私、お昼ご飯持ってきたら、寝てて、添い寝して、起きた時ビックリさせよ~かな~と思ってたんだけど。この表情は、成功のようだね。」
「そ、そうだな。うん、成功だよ。」
「やった~‼ケンヤ君が驚いてくれた~‼」
「ああ。元気づけてくれてありがとう。」
「うん‼どういたしまして‼」
可愛い。この笑顔は、ずっと見てられるな。守りたい。
「ところで、俺と、旅に出てくれないか?」
「いいよ。」
「軽っ‼」
「いや、私、君と以外契約する気ないし、契約者の君がいなかったら、何もすること無いもの。」
「そ、そうなのか……」
「そうなのです。うへへ」
可愛い。萌死にそう。
「じゃあ、3日後に出発するから、準備しておいてくれよ。」
「うん‼じゃあ、またあとでね。あ、午後からは、外に出て軽く運動するといいよっ‼」
「分かったそうするよ。」
俺は、ヒカリが部屋を出て行ったのを確認して、昼飯を食べた。味は最高に美味かった。
「ふ~、さて、そろそろ外に出るとするか。」
俺はベッドを降り、そばに置いてあったスリッパを履いた。
「ところでここ、どこだ?」
はやを出ると、そこにはいつもの使用人さんがいた。
「あの、修練場に行きたいんですけど……」
「あ、おはようございます、ケンヤ様。2日前は、お疲れさまでした。」
「いや、大したことはしていないですけど……」
「いえ、十分すぎて、ビックリしましたよ。あのドラゴンは、各国で問題視されているドラゴンだったので、倒されて、少しホッとしています。」
「俺も、一人でも笑顔の人が居るなら、やっただけのかいがあるよ。」
「ところで、修練場でしたね。この廊下の突き当りを左ですよ。」
「ありがとう。じゃあ、また会えたら。」
「はい。またお声掛けください。」
俺はいつもの使用人さんと別れた。
「名前くらい、聞いとけばよかった。」
それが唯一の後悔だった。
修練場につくと、いつもの顔触れがいた。
「お、剣也。生き返りやがったか。」
「バカか、お前。ずっと生きてるよ。刀俄、ところで何やってるんだ?」
「あ、これか?俺たちの中の最強を決める戦い。らしい……」
「らしいって……」
「どうだ、お前も参加するか?」
「いや、病み上がりには、キツ過ぎだ。」
「そうか。なら、最強は、あいつだな。」
「あいつ、誰だ?」
「まあ、いいよ。俺も知らん。」
「じゃあ、俺は、ちょっと走りに行くが、一緒にどうだ?」
「ああ。行かせてもらうよ。この空気感好きじゃねぇーし。」
「魔力の使用禁止で6キロ。」
「相変わらずのストイックだな……」
「ああ。俺、3日後から旅に出るとするよ。」
「そうか、この世界をしっかり見て来いよ。」
「分かった。そうさせてもらうよ。」
「ああ、そうしてくれ。」
俺たちは会話しながら、走っていた。
翌日、俺は、ヒカリと町に向かった。
町は戦いの跡が付き、ボロボロだった。
「これは、ひどい……」
「私たちも片付け手伝わない?」
「そうだな。」
俺たちは近くに居た人に声を掛けた。
「俺たちも手伝います。」
「あ、あんたは、この町、いや、この世界を救ってくれた人じゃないですか。」
「そこまで大きく出るか。」
「みなさ~ん、英雄の御帰還で~す。」
「何⁉ドラゴン倒した兄ちゃんなのか。」「ありがとな、俺たちの町を守ってくれて。ボロボロだけど。」「お兄さんたち、これあげる。これ、この町の特産で、お守りなんだ。」「あ、兄ちゃん達じゃねぇ~か。これ持って行きな。これくらいしかお礼出来ないけどよ。」「すみませ~んギルドのもので~す。ちょっと借りていきますね~」「じゃあね~」「これからもよろしくな~」
俺、英雄扱いか。
そんなことを思いながら、俺は、冒険者ギルドにひっぱられて行かれているのだった。
______________________________________
(あとがき)
こんにちは、汐風 波沙です。
今回は、ドラゴンを倒した後日と、今後の予定についてを書いています。
そして、この作品も、皆様のおかげで、PVが100を超えることができました。
ありがとうございます。
そして、今後とも、この作品、そして、自分の書いている作品をよろしくお願いします。
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