&α2 駆け出しの朝
「おはようございます?」
「あ、ああ。おはよう」
「いい朝ですね?」
「なんだ。もう腹が減ったのか。待ってろ。いま朝飯を」
「作りました」
「あ?」
「朝ごはん。挑戦してみました」
「おい。寝言は寝て言えよ」
「ちょっと。本当に作ったんだけど」
「おまえ。作った飯がうまいはずがないだろうが」
「じゃあ食べてみてよ。よいしょっ、と」
「いただきます」
「どう?」
「普通」
「普通かあ。むずかしいなあ料理。家庭科の教職免許も持ってはいるんだけど」
「まあ、はじめてで普通なら、いいんじゃないか?」
「そうかな?」
「おまえの分はないんだろ。作ってやる」
「やった」
「うわっ。キッチンそのままじゃねえか」
「へへ」
「しかたねえなあ」
「よろしくおねがいします」
「旨いか?」
「おいしい。おいしいです」
「それはよかった」
「心の寿命延びるわあ」
「なによりだよ。今日も、お前が生きててよかった」
「なにいってるの。あなたがいるかぎり、わたしの心の寿命も延び続けるわ。あなたが、わたしの心なんだから」
「わけわからんな。食い物が延ばすのは身体の寿命だろうが」
「おかわりっ」
「はいはい。たくさんお食べ」
駆け抜けきれない 春嵐 @aiot3110
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