これは大いなる物語への序曲――悪役令嬢⁉ いいえ、ラスボス令嬢です!

白金色の髪と紅玉色の瞳を持つ美少女リリアーナ。
貴族の姫でありながら、彼女には8歳までの記憶がない。
彼女が記憶と魔力を取り戻した時、再び運命が動き出す。

主人公であるリリアーナの行動にはいつもハラハラさせられます。
お嬢様らしく抜けているところもあれば、為政者としての冷徹な面も兼ね備えています。

また、いつもリリアーナを支えてくれる有能でクールビューティーな侍女のアンなど、彼女を取り巻く登場人物も多彩で、きっとアナタもお気に入りを見付けることができるでしょう。

しかし、難点を上げるのであれば、情報量が多いことです。
この作品を楽しむには、様々な神話に出て来る武具や魔物、異種族に関する知識が必要かもしれません。
読むには覚悟が必要ですが、逆を言えば――読み応えがある――ということです。

本編である『氷の魔女は若き黒獅子に溶かされる』へと続くプレリュードとなる作品ですが、登場人物に対する作者からの愛が強く感じられました。