好きです。
他に言葉がないくらいには。
もっともそれではいけないので、書かせていただきますね。
「俺」はいつも煙草を吸っています。嫌なせかいの呪詛をまき散らし、みずからにも毒を取りこむように。煙と一緒に吐きだされる「俺」の罵倒は他者にたいする不満や怒りばかりですが、何処か自罰的です。
そんな「俺」にどうして煙草を吸うのかと訊ねるものは数しれず。しかしながら「俺」が「世界の滅亡を願ってるからだ」といえば、眉根を寄せて離れていきました。
ですがその日、声を掛けてきた少女は違いました。
「どうして、世界の滅亡を願っているんですか?」
そのさきを訊ねてきたのは彼女だけ。
そうして彼女は「俺」に度々話しかけてくるようになったのでした。
とてもふんいきのいいボーイミーツガールです。中程が会話だけで過ぎていき、終盤にまた地の文が増えだすときの孤独感も、たまらないものがあります。しかしながら……短編小説の感想は難しいですね。どうあがいてもネタバレになりそうな気がして。
とにかく読んでください。この空気感を感じてください、としかいえません。
おすすめです。