第5話 私が変えられるもの。それは私と・・・

「綺麗だ、ミサキ」

「ありがとっ。お父さん、お母さん」

「楽しんでおいで」

「うん」


 黄色の振袖を着て、髪を結ってもらった。

 成人式はあっという間だった。懐かしい友達、懐かしい先生。小中と話をほとんど話をしたことのない同級生とまで、写真を撮ったり、話をしたりした。イメチェンをして誰かわからない人もいたが、話をすれば昔の面影があった。

 みんな、みんな。イメチェンしてもしなくても、変わらない部分と変わっている部分を兼ね備えていた。


 中学の同窓会を終え、高校の同窓会に合流する。

「遅いよ、ミサキ」

「ごめん、ナギサ。なかなか抜けられなくて」

 ナギサと話をしていると、奥の方にいたハルトと目が合う。ハルトは髪はワックスを使って遊ばせていたけれど、優しい瞳はそのままで、少し顔は凛々しく大人っぽくなってスーツが似合っていた。

「ちょっと、聞いてるの、ミサキ」

「あっ、うん。ごめん」

 酔っぱらっているナギサを初めてみるが、どうやら絡み酒なようだ。


(ハルト・・・) 

しばらく、ナギサや他の女友達と話をしていて、どこかのタイミングでハルトに前のことを謝りたい、話をしたいと思っていたが、いいタイミングが見つからず、やきもきしているうちにハルトが帰ろうと立ち上がる。


「あれっ、お前。もう帰んの?まさか俺らを見捨てて違う奴らのとこ行くんか?おぉん?それとも女か?彼女作るなんて許さんぞ~」

「彼女なんていねぇよ。明日早いんだよ」

 ハルトもハルトで同級生の男子に足を掴まれて苦笑いをしていたが、水を飲ませて、立ち去ろうとする。入口付近にいた私の近くを通る。

「お先に」

 女子全体に声を掛けて、ハルトが出て行こうとする。

(行ってしまった・・・)

 私は二度目の後悔をしてしまう。


―――友達との時間も大事だったけど・・・人目を気にして、また・・・


 ピロリンッ


 私のスマホが鳴る。

 

 ハルトからだ。


『話をしたいんだけど、来てくれないかな?』

 

 私の周りの世界が止まった。


「おっ。ハルトからじゃん。ヒック」

「もう、ミサキ」

 ミサキが寄りかかってくる。

「やっぱり旦那じゃん。ヒックっ。ハルトが卒業式のあんたとのツーショット欲しいって頼みこまれてたなー。俺に取ってミサキはなんとかの女神なんだぁ~・・・あっ、これっ。秘密にしろって言われてたっけ。ししししっ」

 私は立ち上がる。


「・・・ミサキ、ありがとう。いってくる」

「ん~、頑張ってこい」

 多分ミサキの言葉は何も考えてない言葉だろうが、私の背中を押した。

 そして、今度問い詰めて、その内容を聞き出そうと思った。

 

 今度こそ、伝えよう。私の気持ちを。2年もさらに成長した気持ちを素直に―――


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ツンデレは時代遅れです 西東友一 @sanadayoshitune

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