第30話 最終話


おいら おいらもその日、空を見ていたら、竹が見えたんだ。

  まさしくおいらが、あたいに話し掛けた日に見えた竹とおんなじ竹が。

  どこまでもどこまでも延びていて、どこまで行っているんだろう、って考

    えてた。

   そうしたら、おいら竹の先っちょが見えたんだ。

  とても間近に。


あたい あたいもじいっとじいっと竹の先を見つめていたら、

  そしたらその竹の先が見えたの、とってもクッキリ。綺麗な空だった。

  ずっとずっと長い時間。

    とても静かに。


おいら おいらにも見えたぜ、竹の先っちょ。

    とっても間近に。


あたい  ・・・・・・もう交換日記も最後のページになっちゃった。


おいら まだまだ、スペースはあるぜ。

    文字をちっちゃく書けば、まだまだ書けるし、おいら2冊目の日記も買って

    くるし。


あたい なんかすっごく早かったね。

    こんなにいっぱい書いて来たんんだよ。

  すごいよね。最初は嫌がってたけど、やれば出来るんじゃん。


おいら おいらは、やれば出来る子なの。


あたい ああ、でも・・・なんか良かったな・・・・・・・・。


おいら 何が・・・・・・?。

  ・・・・・・・


あたい あたいね・・・、


おいら うん。


あたい 席替えで・・・、


おいら うん。


あたい おいらの席の隣になったとき・・・・、


おいら うん。


あたい 思わず嬉しくて飛び上っちゃった・・・・。


おいら ばかだな。


あたい でも話してみたら、ただのドンゾコだった・・・・・(笑)。

    

おいら うん・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

    その時、教会の屋根の上の十字架に引っ掛かっていた、

    青い風船が空に飛んで行きました。


  あたい、ゆっくりと屈んで丸くなって、石になる。

  エンディング:SEKAI NO OWARI「幻の命」

  ゆっくり暗転。

 

  おいら、一人で明転。


おいら  (前をまっすぐ見て)

     あたい。(呼びかける)

     おいら今日、二冊目の日記を買ったぜ。

     また新しいおしゃべりをしようぜ。

     あのさ・・・。(空を見上げて)

     おいらには実は見えてるんだぜ。

     あたいは、おいらには気付かれていないと思ってるかもしれないけど、

     空を見上げると、小さな黒い粒々のあたいが、おいらを見つめてるの。

     そこにいるんだろ。バレバレ。

     もう暗くなったから帰るよ。

     また明日。

     

     


                                  おわり




【参考】

グリムスパンキー:美しい棘

岡本太郎:自分の中に毒を持て

ドリカム:空を読む

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戯曲「碧い空に小石を投げると」 もりた りの @moritarino

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