第29話 返事をくれよ
おいら おーーーーーい、おーーーーーい。
何か返事をくれよ。
おいら心配だよ。
おーーーーーい、おーーーーーい。
どうしちゃったんだよ。
あたいのライトが付く。
あたい ごめんね。
返事が遅れちゃって。
少し検査してたの。
容態あまり悪くなってないって。
よかった・・。
おいら なんだよ、返事が遅いからおいら、心配で心配で。
おいら、毎日がとっても窮屈で窮屈だよ。
遊びに行く気もしないし、かと言って当然勉強する気にもならないし。
ご飯も喉を通らない。
特に、ゴーヤは全くもって全然に喉を通らない。
でも不思議なんだ、ビックリマンチョコだけはいくらでも食べられるん
だ。
あのキャラクターがおいらを癒してくれている。
あたい なんだ、大丈夫なんじゃない。
ただ好き嫌いなだけじゃない。
馬鹿ねえ。大丈夫に決まってるよ。
でも少しおいらが羨ましい、大人になったら本当にお医者さんに
なってくれるの?
おいら なるよ、絶対になる。
あたい 今だったら何にだってなれるよ。
サッカーの選手だって、先生だって、 研究者だって、サラリーマンだっ
て、パイロットだって、弁護士だって、画家だって、大工だって、カメラマ
ンだって、獣医だった、それにそれに・・・、
おいら 他にも、政治家だって、シェフだって、お寿司屋さんだって、警察官だっ
て、消防士だって、パン屋さんだって、宇宙飛行士だって、
いっぱい一杯仕事はあるよ。
でもおいらは、医者になりたい、早く一人前の医者にとってもなりたい。
あたい あたい、 おいらが医者になった姿見たかったな。
きっと立派なお医者さんになるんだろうな。
おいら 馬鹿言うなよ。おいらが治しに行くんだから、それまで頑張れよ。
お医者さんから容態も悪くないって言われてるんだろ。
あたい うん、そう。
おいら だったら大丈夫、絶対に良くなるから。
あたい うん。
おいら だから、元気の出るものをたくさん食べて、たくさんウンコもして、
たくさん診て貰えば絶対良くなるから。
あたい うん。
おいら 絶対、大丈夫。
あたい うん。
おいら うん、うん、ばっかりじゃなくて。
ウンコ、みたいじゃん。
あたい 今日の空は、とても青くて澄んでいました。
消え掛かった飛行機雲があって。
空を見ていたらあたいの目にも竹が見えました。
それはとてもとても長くて、空まで突き抜けるような竹。
どこまでもどこまでも延びていて、空を突き刺していました。
あまりにも延びすぎていて、空が痛がっているようでした。
その景色は、前に見覚えがある景色でした。
おいらが話し掛けてくれた時に見ていた空のような。
あたい、はっきりとは覚えていないけれど、その時と同じ空と確信しまし
た。
あたい、あの時こんな綺麗な空見ていたんだ。
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