一週間の同居生活⑭
後から聞いたのだが、どうやら明希は昨日真依を探していて家にいなかったようだった。
「って“偶然というか運命?”って感じで見つかったんじゃなくて、探し疲れて帰ってきたらたまたま見つかっただけかい!」
「それってどう違うんだ?」
「いや、まぁ、そうか・・・。 何か主導権握られていたような気がしたけど、本当は心配でたまらなかったんだね」
「別にそこまでではないけど・・・」
二人は明希の元カノが眠っている墓に足を運んでいた。 けじめをつける。 それが明希の元カノにできる最後の仕事。 もちろん、忘れることなんてできない。 ただ積み重ねていくだけだ。
「どんな人だったの?」
「そうだな・・・。 真依と違って静かで落ち着いていて、寝ても涎を垂らしたりはしなかったな」
「・・・」
故人に対して何かを言うつもりはないが、やはり何だか悔しかった。 一通りを終え、家路に就く時明希はポツリと呟いた。
「真依には真依のよさがある。 それは確かだよ」
昼食を終え、帰りの支度をし一週間の共同生活を終える時間になった。
「送らなくて平気?」
「今日は湊が迎えに来るって。 譲らないって言うから」
「・・・何それ」
「お? お? もしかして、妬いてる?」
家の軒先、明希がそっぽを向くのが真依は楽しくて仕方がなかった。 二人はまだ正式に付き合っているという感じではない。
まだ話すようになって一週間、その時間が短すぎるため元カノに申し訳が立たないらしい。
「別に」
「ふぅん・・・。 あ、湊ー! やっほー!」
「はぁ!?」
「嘘だよ。 ここまで来るわけないじゃん」
ちょっとからかい過ぎたのか、明希が本気で怒りそうだったためこれ以上は止めておいた。
「一週間ありがと。 本当に楽しかった」
「・・・悪かったな。 一喜一憂させて」
「それはいいよ、気にしないで」
結果的には、明希と付き合うような感じになったためよかったと言える。 湊とこれからどうなるか、それは少し不安でもあるが、何とかなるだろうといった具合だ。
「いつでも来いよ。 部屋は開いているし、父さん母さんも真依のことは歓迎しているみたいだから」
「そう言ってもらえると嬉しい。 また何かあればね」
「・・・別に何かなくても来ていいんだぞ」
「気が向いたらね!」
真依はそう言って、身を翻した。 これ以上は何となく恥ずかしい。
「それじゃあ、お世話になりました」
「次の土曜の予定、忘れるなよ?」
「分かってるって!」
こうして真依と明希の共同生活は、終わりを告げた。
-END-
一週間の同居生活 ゆーり。 @koigokoro
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