桃から産まれんのが男だけとは思うなよ
宮本
拾われた先の。
「おい、何を改ざんしてるんだ。」
「何がじゃ?」
目の前の老人二人はぽかんとしていた。
「アンタらに拾われた時だよ。いや、アンタは柴刈りどころかタヌキの首刈って来てるし、そっちは砂金探すため必死にザル揺すってついでに洗濯してただろ」
「タヌキは美味いぞ?誰しも芝なんぞよりやっぱり肉が食いたいだろう。」
「別に、やる事やってるんだからいいじゃないのさ。あたしゃ金が作れないならあの川で洗濯なんてしないよ。」
「…さいですか」
流れ着いた先はとんでもない所だったわけだ。
幼い頃、隠れんぼデカい桃の中に隠れてると突然大きく揺れ動いたと思えば、だ。
ザーザージャブジャブと言う音が消えてやけにガックンガックン縦や横に揺れ動き、話し声が聞こえたと思えば「包丁で真っ二つにすりゃ…」と言うものだったので焦って飛び出した。果汁まみれになりながら出た先には出刃包丁を持ったババアに傷だらけのやたらコワモテのジジイ。
…当時はよく漏らさなかったと思う。
「そういえば、アンタいつ定職につくんだ?今は鬼や妖怪ですら就職して金を稼いでるってのに」
ババアの一言が刺さった。
「…ヒィ、耳が痛い。」
ばっ、と両耳を塞ぐ。
桃から産まれんのが男だけとは思うなよ 宮本 @miyamoto4646
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。桃から産まれんのが男だけとは思うなよの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます