第11話 帰郷
関所にももう鬼はいないし、意気揚々と故郷に戻った俺たち。初めは青竹の故郷に寄り、青竹が世話になった人々に金銀を分けた。初めは信じなかった村人たちも、金銀をもらって大いに喜び、
「お前たちはすごいよ!」
「よくやった!」
と誉めてくれた。
次に生成の故郷に寄り、更に俺の故郷へ。
「じいちゃん、ばあちゃん!」
俺は家に帰った。じいちゃんとばあちゃんは飛んできて、抱きしめてくれた。
「朱李や、よく無事に帰って来たね。」
ばあちゃんが言った。
孫作がみんなを呼び集めてくれて、宗達先生や夜七親子、もちろん孫作一家にも、持って帰って来たお宝を分けた。
「鬼を全部倒したのか?すごいな!」
皆が誉めてくれた。けれども、本当は全部ではなかったのだ。俺は、鬼を倒した経緯をみんなにざっくり話した。そして最後に、
「だから、俺はこれから江戸へ行く。全ての鬼を倒す。」
決意を込めて言った。生成や青竹も、今一緒についてきたのはそのためだ。話し合ったわけではないけれど、彼らは故郷で別れるのではなく、俺について来てくれた。
「このお宝で装備を強化した方がいいな。江戸へ行けば良い物が手に入るだろう。」
宗達先生が言った。
一晩眠ってから、俺たちは江戸に向かって出立した。今度はきび団子と、よもぎ団子を持って。そして、宗達先生から新しい木刀をもらって。
「よし、行くぞ!」
「おう!」
俺と生成、青竹、千草にとって、これからまた、鬼退治の旅が始まろうとしていた。
鬼退治に行こう 夏目碧央 @Akiko-Katsuura
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