一行の裡にさえ混沌が煌めく

日常世界と彼方の恐怖世界を、「振り返る」ことでつなげ、反転させる作者の力量は半端でない。
ひとつひとつの言葉に彼方の世界へ通じるモノが込められていて、それをこじ開けるように読んでいく感覚。短編でありながら読み応えの重厚さを堪能できる。
さて、語り口としては、後半、JKの独白には語彙力並びに教養がありすぎて衒学にすぎるのだが、そこはもはや彼は誰の世界のめくるめく意識とつながっていると解すべきであろう。現代女子の言葉遊びとホラー世界のそれが似通っていることも捉えられて、面白い。

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偽神贄狩り