第5話 珈琲は夜の内に
世界が滅ぶなら、僕はここで君と過ごした日々と滅びたい。君を忘れない。
私の空想はまだ止まらない。勉強しているはずの手は止まりっぱなしだ。コーヒーを飲んだら冷たくなっていて、グッと飲み干した。私はキッチンでコーヒーを作りに行こうとして、近くの公園の自販機に買いに行くことに決めた。眠れないし、集中できないしちょっと歩いて気分転換。晴れた夜空は少しだけ雲が出ていて、さっきの三日月も隠れたり出てきたりを繰り返している。
もう君のそばにはいられない。
ここにいたら死んじゃうんだよ?
それでいい。君にはどこかで生きていて欲しい。
…わかったわよ!あんたなんかこんなとこで本に埋もれて死んじゃえ!!
彼はどこか嬉しそうに返事をして、彼女の見送りにも行った。宇宙船には10人ほど、AIも乗り込んでいる。最後の彼女からの話も彼はうつらうつらと聞いている。AIは機械音ではっきりと伝えた。
「彼は1日後に死にます。手を尽くしても変わりません、染み出たガスの影響を強く受けています」
「無理やり連れていくことはできない」
彼女の仲間も言った。彼は笑顔で、彼女は泣きながら手を降った。
好きだよ
ぼくも好きだよ、星のように輝く瞳が水のように流れる涙が。
うるさいなあ、ねえ本当に好きよ。
彼女を乗せた宇宙船は星の外に出るとすぐ上層部の乗った宇宙船に攻撃され、星になった。彼が本を読みながら珈琲を飲み干した時、星も滅び、また小さな星たちになった。
珈琲は月の下で 新吉 @bottiti
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