第4話 珈琲は夜の中に

 夜は長い。みんなが思っているよりずっと長い。


 私は勉強のおともにブラックコーヒーとプレイリストを再生する。膝掛けが仲間に加わった。気まぐれに窓際に立って膝掛けを落とす。真っ黒な窓に、明るい月がきれいだ。三日月の下の方が雲に隠れて。カーテンは閉めた。だけど私は形だけの勉強をしながら、空想の世界へ旅立つ。



 魔女はハロウィンの準備を始める。どこか私たちの知らない暗い場所にみんなでひっそりとしている。ハロウィンは彼女らがはしゃいでも誰にも気づかれない。きっと魔女は若い女の子になってるわね、そもそもお姉さんくらいの美貌を常に保っているのよ。手下の怪物たちに命令しながらカボチャの飾り付けもしているかも。包帯男を少し剥がしてアーチの飾りにしたり。



 コーヒーを飲む、三日月が頭をよぎった。



 読書が趣味の彼と気づいてしまった彼女。生きるための居場所を探してどこかを流れている。時は2222年、世界の終わりを上層部は隠した。偽りの平和を過ごさせ、感覚を鈍らせた。上層部はAIに管理を任せ、違う星へ。大半の住民はそのまま操られ滅び行く星に取り残された。気づく者は少なかった。だけど彼女は気づいた、そして彼と恋に落ちた。なんとしても彼を連れていきたかった。彼には、どんなにここが崩れ落ちそうかわからない。静かで平和で本を読むのにちょうどいい世界じゃないことに気づかない。彼女の訴えに彼は言った。

 君と僕で見えるものが違うんだね

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