第2話 攻略組
「おい!イディア、大丈夫か!」
ケアロスは慌てて言った。
「大丈夫、一応回復魔法で少しずつ治療してる。でも…」
ヴェレシアは心配そうにいった。
「戦いから意識が戻らないの。もう少し寝かしておけば、目覚めるかな?」
「とりあえず、みんなで地上を目指そう!イディアのことはこのネシャ・ブラトンにまかせて!」
「わかった。」
ネシャは攻略組のリーダーだった。
「俺も連れていってくれ。」
「カロン!」
ヴェレシアは言った。
「なんで攻略組以外がここにいんのよ…」
「おまえ、何者だ!」
メンバーのみんなは驚いていた。
「ありがたいことにあんたらの連れが俺の封印をといてくれた。」
「メンバーって…ま、まさかヴェレシアが連れてきたの…」
ヴェレシアは言った。
「お願いだからみんな落ち着いて聞いて欲しい。」
「そんなことが…」
ネシャが言った。
「ヴェレシア、おまえそんなやつ信用するのか?」
ケアロスは冷たく言った。
「体の一つも鍛えていないこの凡人が、俺たち攻略組に見合うだけの実力があると思うのか?」
「でも…私見たんだ。彼は強かった…」
ヴェレシアはゆっくり穏やかにいった。すると突然ケアロスは大きな声で言った。
「じゃあ、この俺とバトルしろ!言っておくが俺が1番攻略組の中で相手にしたらやばいってやつだ。」
「ちょっと…やめ…
ネシャとヴェレシアがとめようとした。
「構わない。」
「あんたがどれだけ強いのかわからんが、おれの敵はヤダメスだけで十分だ。」
ケアロスは携帯機のゲームページを開いた。
「サインしろ。一対一の勝負だ。武器は剣、魔法を使うのはありだ。そして、先に尻を地面についたほうが負けだ。俺は反則が嫌いだ。正々堂々戦おう。」
カロンは躊躇いもなく言った。
「反則など、もとよりするつもりはない。」
ネシャが続けて言った。
「両者、陣の中へ。」
「それではゲームを始めます。スタート!」
「行くぜ!」
そういうと、ケアロスは飛び出した。
そしてテレポート魔法を使い、カロンの後ろに周り込んだのだ。
(背中をとれば、俺の勝ち!)
「なにっ!」
その瞬間ケアロスは宙に浮いた。また、身体全体が動かなくなったのだ。
「くそっ、なんだよこれっ!」
そのとき、ケアロスは気づいた。
(魔眼を使えば…)
しかし、そんなのは無意味となった。ケアロスが魔眼でカロンを見た途端、カロンはその10倍以上の威力の魔眼を出したのだった。
「うっ!
ケアロスはたちまち地面に押さえつけられると尻をついてしまった。周りのみんなが少しの間、呆然としていた。すると、ネシャが言った。
「ケアロス・アドラルド戦闘不能。勝者、カロン・デトラリウス!」
拍手すらなかった。圧倒的な強さに驚いていたのだ。しかし、ケアロスだけはカロンを称えていた。
「あんたは俺より強い。どうだ、攻略組に入りはしないか?」
ケアロスは尋ねた。
「そうだな。攻略組には入ってやる。ただし…」
「ただし?」
「ヴェレシア、おまえが俺とパーティーを組め。」
「えっ…?」
ヴェレシアは驚いた。
「ケアロスではダメ?」
ネシャはゆっくり尋ねた。
「ヴェレシアだ。」
カロンはめげずに言った。
「あっ、もしかしてカロン君、ヴェレシアちゃんが好きなんでしょ。ほら、助けてもらったヒロインに恋しちゃったってやつ!もしかして、それ?!」
シリアは言った。
「シリアやめなさい…」
ネシャが呆れたようにいった。
「まぁ、そう言うわけではない。」
カロンの返事はわかりやすかった。ヴェレシアとカロン以外の全員が素早く円を作った。
「あれはマジだ!」
「カロン、わかりやすすぎ…」
その時、シリアが言った。
「私にまかせて!私、2人の恋のキューピットになるよ!」
同時にみんなはおもった。
(やめろ!おまえの場合、逆効果だ!)
「い、いいよ…。あの2人の成り行きにまかせましょう。」
「それより…
ネシャは立ち上がって言った。
「ヴェレシアと組むのは私はいいと思うけれど、イディアが目覚めない限りはどうしようもないわ。」
「そうだな、イディアの許可を得てからってのが1番だよ。」
ケアロスも続けて言った。
「あの…」
「どうした、セリーナ。」
「その、イディアが目覚めるまでヴェレシアのパートナーいないから、その間だけ仮契約としてパーティー組んでみたら?」
ネシャとケアロスは顔を合わせていった。
「そうね。セリーナのいうとおり。彼をイディアが目覚めるまでパーティーにいれてあげよう。ヴェレシアは良い?」
「私は構わない。誰とパーティー組んでも平気。」
ヴェレシアの言葉にネシャは顔を少ししかめた。
「ヴェレシアの許可もおりたから、正式にパーティーになるにはイディアを待つしかないけど、それまでの間はよろしく、カロン。」
「こちらこそ、よろしく。」
「ヴェレシアたちが遭遇した魔物のことなんだけど…」
ネシャは言った。
「あんなに奇妙な魔物はじめてだった。」
すると、カロンは言った。
「あの魔物たちは俺の兄貴が作ったものでね。1000年前、おれはこの迷宮の100回層に封印された。といっても、兄貴とは仲が良かったからな。俺は兄貴ではない別のものに嫌われていた。そいつに封印された。」
「それって、だれ…?」
「兄貴の二重人格さ。」
カロンはさらりといった。すると、ネシャは驚いていった。
「そ、それって、お兄さんに嫌われていたのと同じじゃない!」
カロンは少し首をかしげて言った。
「それが少々めんどくさい話でね。兄貴の場合、自分で生み出した二重人格ではなく、不滅の魔王に植え付けられたものだ。」
「不滅の魔王ってあの?」
カレリカが小声で言った。
「カレリカ、知ってんの?」
「不滅の魔王、あいつはいつも世界の中心にいる。人の生死をも司っているいわば、最強の神だ。名をヤダメスといい、僕ら双子の能力もそいつによってもたらされたと考えている。」
ネシャはカロンに尋ねた。
「100%と決まったわけではないのね?」
「これはあくまで推測にしかすぎない。」
ヴェレシアはカロンに尋ねた。
「カロンにとってヤダメスは敵?」
考えこんでからカロンはいった。
「そうだな。今時点では敵以外の何者でもない。とにかくこの迷宮は危険すぎる。一度ヤダメスの手に染まってしまっているものは危険だ。」
カロンは続けて言った。
「危険度が上がる前にこの迷宮を永久封印する。全部俺がやるから全員30メートル以上俺から離れろ。」
「でも、そんな大魔法使えるわけ…
「使える。」
カロンは得意そうに言った。
「俺は時使いだ。この世の全ての魔法が使える。さあ、始めよう!」
パーティーを組んだあの人は国一番の権力者 yama みそかす @yama_misokasu
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