クマに出会ってしまった!

マキシム

クマに出会ってしまった!

本日は春の日和、この時期は絶好の登山シーズンである。この時期は自然が豊かで美しく、観賞や食べ物となる綺麗な草花が咲く季節でもあり、地元の人間や観光目的の登山客がいっぱい来ました。そして冬眠から目覚めた野性動物たちも活動を再開する時期でもあり、人間と野生動物が出会う時期でもあります


俺の名前は登山客O、大学のサークル活動の一環で、俺はこの山の下見ついでに登山をすることになった。そして俺は今、この山の管理人の説明を聞いていた


【管理人】

「遠路はるばる、ようこそお越しくださいました!」


山を管理する責任者である管理人が地元&観光目的の登山客を出迎えた


【管理人】

「本日は絶好の登山日和です。今の時期は美しい草花が咲いておりますが同時に野生動物が冬眠から覚め、活動が活発化する時期でもあります。特にクマやイノシシ等、人を襲うことがございますので、くれぐれもご注意のほどをお願い申し上げます。また春の季節でも山の天気は変わりやすいですので、くれぐれも集団から離れてはいけません。」


登山するにあたり、野生動物との遭遇の注意も必要である。特にクマによる獣害事件が起こっており、ニュースになるほど危険な生き物として扱われているがクマは本来、臆病で大人しい生き物であり、人の気配を察知すると、その場から逃げることがあるため出くわすことは稀である。日本にクマは2種類おり、本州&四国にツキノワグマ、北海道にヒグマがいる。ツキノワグマは雑食性だが草食寄り、ヒグマは雑食性だが肉食寄り、日本の獣害事件ではヒグマが人を襲うことが有名であるが、ツキノワグマによる獣害事件も存在する。次に山の天気である。理由としては山は上昇気流が発生しやすいのである。風が山にぶつかると、風の行き場がなく強制的に山の斜面を吹きあがった説や、太陽の熱によって山肌が温められて地面付近が暖かく軽い空気となり上昇気流が発生する説等、いろいろある


【管理人】

「皆様、予め人間の存在を野生動物に知らせるために音のなる物を各自、ご用意してください。もし、ない場合は、売店にて売っておりますので是非、ご利用ください。」


売店にはクマ避けの鈴や虫よけスプレーや山岳グッズの他、クマ避けスプレー(主成分は唐辛子)等が売られていた。地元の人たちは各自用意しており、観光客は売店にて購入していました。登山客Oはクマ避けの鈴や爆竹やクマ避けスプレーを持参していました


【管理人】

「では、お気をつけて、行ってらっしゃい!」


同時期に体長が約150㎝ほどの成獣のオスのツキノワグマが冬眠から目を覚まし、山の湧き水を飲み、餌となる木の実を食していました


【ツキノワグマ】

「やっぱり春にできた木の実は美味いな。」


ツキノワグマは春の陽気を感じながら、ゆったりと山登りをしていた


【ツキノワグマ】

「そういえば、この時期に人間がいっぱい来るんだよな。俺たちの縄張りで勝手なことしてんじゃねえよ、全く!でも人間怖いしな、はあ~。」


ツキノワグマはなるべく人間と出くわさない様に、犬並みの鋭い嗅覚で人間の臭いを嗅ぎ、優れた聴覚で人間の発する音を聞き分けながら慎重に行動をしていました。登山客Oは他の登山客とともに、山登りをしていた


【登山客O】

「ふう、結構足に来るな、下見に来てよかった。」


登山客Oは初めて登る山に少々苦戦していたが同時にやる気も上がっていた。俺が所属する登山サークルは最近できたばかりの同好会であり、部に昇格するために実績作りの最中なのである。だが実績作りには危険が伴うこともある。山登りで実際に野生動物に出くわして命を落とした事件も存在している。登山サークルは安全な方向で部の昇格を目指そうとなるべく多くの登山客がいる時期に山登りをする方針に決めていた


【登山客O】

「部の昇格目指してひたすら登るしかない!」


登山者Oは部の昇格を目指してひたすら登るのである。やがて11時になる頃には、雲行きが怪しくなってきた。登山客の中には諦めて下山する人たちが出始めました。登山客Oもあくまで下見目的で来たので無理をせずに下山をしました。下山を開始していると途中で山霧が発生し、地元出身の登山者は山霧ガスが晴れるまでじっと待機するよう、アドバイスをし大きな岩場で待機しました


【登山客O】

「とりあえず、待機するしかないか。」


待機して1時間後、ようやく霧が晴れ、再び下山を開始しました。ですが一難去ってまた一難、下山中に雨が降ってきたので、登山客Oはレインコートとレインズボンを着用し、水分と食べ物を取り、栄養を補給した。やがて雨が止み、下山を再開しました。下山中、また山霧が発生し、運悪く登山客Oは他の登山客とはぐれてしまった


【登山客O】

「不味いな。みんなとはぐれてしまった!」


登山客Oは近くに人がいないか大声を出した


【登山客O】

「すいません!誰かいませんか!」


大声で叫んでも、返事は返ってきませんでした。これは完全に不味い


【登山客O】

「取りあえず山に登ろう。山の頂上に行けば、ヘリが助けに来るかもしれない!」


登山客Oは山の頂上を目指して登ることにした。山の頂上は空からでもはっきりと分かりやすいため、ヘリで見つけることができるのである。下山した方がいいと思う人がいるが道を間違えて、遭難することが多い。それに森が覆い隠してしまうため、ヘリでは見つけられないのである


【登山客O】

「結局、登るしかないのか。」


登山客Oは登山を開始し、頂上を目指した。一方、その頃、上流の河川で水を飲んでいたツキノワグマは・・・・


【ツキノワグマ】

「ふぅ~、山の天気は変わりやすいから嫌だな。」


ツキノワグマも相次ぐ雨と山霧に嫌気が差していた中、河川の流れの音と風上のせいか、登山客Oの臭いと気配には気付かなかった。一方、登山客Oはようやく河川の上流に到着し、冷たい湧き水を飲み、精気を養っていたが、こちらもツキノワグマの存在には気づいていなかった。そして両者は運悪くばったりと出会ってしまった!


【登山客O】

「げっ!クマだ!」


登山客Oの目と鼻の先にはツキノワグマがいた。ツキノワグマの方も登山客Oの存在に気付いた


【ツキノワグマ】

「おーい!なんで、ここに人間がいるの!どうしよう!」


ツキノワグマは内心、ビクビクしながらも人間を睨み付けた


【登山客O】

「慌てるな。落ち着け~俺。」


こっちには護身用のクマ避けのスプレーと爆竹がある。今はクマを刺激しないようにしよう。確かクマと向き合ったまま、背中を見せずに、ゆっくり後ろに下がるんだよな。それとクマの意識を荷物を少しずつ目を向けるように下ろすんだよな。死んだふりや後ろを見せるのはダメだったな。登山客Oはクマと向き合ったまま、ゆっくりと後退りし始めた。いざというときにクマ避けのスプレーを持ちながらである。そしてリュックから荷物を少しずつ落としていった


【ツキノワグマ】

「んっ、何だ。何か落としていくぞ。もしかして食い物か!」


ツキノワグマは登山客Oが落とした荷物に目をつけている隙をついて、ゆっくりと後退りしていく途中で、小石に躓き、尻餅をついてしまった


【登山客O】

「いってえええ。」


【ツキノワグマ】

「ひいいいいい!」


登山客Oは尻餅をついて痛がったがクマの存在を忘れていた。クマの方は尻餅をついた登山客Oに驚き、突撃を仕掛けた


【ツキノワグマ】

「こいつは敵だ!倒さなくちゃ!」


ツキノワグマは突撃してきた。登山客Oはクマ避けのスプレーを落としてしまい、とっさの判断でリュックで防いだ


【登山客O】

「うわわわわわわ!」


ツキノワグマはリュックで防いだが、ツキノワグマのパワーに圧倒され、防戦一方になってしまった。ツキノワグマの血走った眼光が登山客Oを睨み付け、登山客Oは恐怖に怯えながらも、クマ避けのスプレーを探した。すると数メートル離れた所にクマ避けのスプレーを発見したが、ツキノワグマの爪が登山客Oのレインコートをかすった。かすったが、レインコートがいとも簡単に破れてしまった。次のツキノワグマの爪が登山客Oの頬をかすった。かすったが、傷口から血が出た。登山客Oはふと、目にあった拳大の石をツキノワグマの鼻に思い切りぶつけた!するとツキノワグマは一瞬にして怯んだのである


【ツキノワグマ】

「いてええええ。」


登山客Oは隙をつき、ヒッシニ走り、そしクマ避けのスプレーを持ち、ツキノワグマに向けて、クマ避けのスプレーを噴射した


【ツキノワグマ】

「ぐわっ、何だ、これ!目が痛い、鼻がおかしくなる!」


ツキノワグマは唐辛子の入ったクマ避けのスプレーに怯み、そして・・・・


【ツキノワグマ】

「うわあああああ!」


ツキノワグマは足を滑らせ、そのまま下流へと落ちていった


【登山客O】

「や、やった。」


登山客Oは力尽き、その場で倒れた。登山客Oにとっては命からがらの出来事だろう。俺は生きている、俺は生き残ったんだと生を噛み締めた。そして時間が過ぎ、ようやく立ちあがり、湧き水を飲み、体から力が戻ってきた


【登山客O】

「よし頂上を目指そう。」


登山客Oは頂上を目指している途中で、ヘリの音が聞こえた


【登山客O】

「ヘリコプターだ!」


登山客Oはヘリコプターの音に気づき、頂上を目指して登った。するとそこにはヘリコプターが上空を飛んでいた


【登山客O】

「おーい!ここだ!」


登山客Oは頂上付近で爆竹を鳴らしたり、手を思いきり振るい、必死に自分の居場所を教えた


【救助隊】

「おい、あそこで手を振っているのは遭難者じゃないか!」


救助隊も登山客Oに気づき、ヘリを着陸させ、無事に登山客Oを救出した。その後、登山客Oはヘリで病院に運ばれ、検査を受けたが命に別状はなく、頬の傷も深くなかった。その後、登山客Oの両親や大学の職員やサークル仲間が病院に来て、登山客Oは各所から一斉に怒られたが同時に心配もされ、登山客Oは生きていることに喜びを見いだした。またクマと遭遇し、ボロボロになったリュックとクマの爪で切り裂かれたレインコートやクマ避けのスプレーをニュースで取り上げられた。登山客Oは大学ではちょっとした有名人になる。一方、そのころツキノワグマの方は・・・・


【ツキノワグマ】

「あぁ~、この間は散々だったな。人間と関わるとろくなことがないよ。」


ツキノワグマは餌となる木の実を食べている途中・・・パーン!


【ツキノワグマ】

「ぐふっ!」


ツキノワグマは脳天に何かを射抜かれ、そのまま倒れた


【猟師】

「よし仕留めたぞ。」


ツキノワグマは猟師の放った弾丸によってこの世を去った。解剖の結果、以下の通りである


【ツキノワグマ(♂) 】

・年齢7歳(推定)

・体長150cm

・体重100kg

・腹の中には木の実だけ


ツキノワグマは人間と出くわしたことで運悪く射殺されたのである。これはニュースに載ったのである。そのニュースを見た登山客Oは・・・・


【登山客O】

「俺が登山しなかったらアイツは死ななかったし、俺もひどい目に遭うこともなかったんだよな。」


登山客Oはツキノワグマに同情しつつ、今を生きているのである


※この物語はフィクションです

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クマに出会ってしまった! マキシム @maxim2020

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