第10話

「二人セゾン二人セゾン春夏で恋をして」


やっぱりねるの声は櫻坂の声に良く合うな。癒しボイスだし。アニソンも合いそうだ。君が笑む夕暮れも歌ってもらえないだろうか。あの曲ならねるの声で倍にヒロインの思いが伝わってくるだろう。


「ねるこれを歌ってくれないか?」


「この曲は知らないね。だけど四回ぐらい聞かせてくれれば歌えるよ」


俺は音楽を流すと真剣にねるは聞き入った。そして四回聞き終わると君が笑む夕暮れをいれて歌い始めた。


ああ、やっぱりいいわ。ヒロインの気持ちが伝わってくるのと。癒される。これが癒しボイスの破壊力か。切なさも感じる。これがねるの歌の真骨頂だな。癒しと切なさを兼ね備えている。やっぱねるにはこういったしっとりした曲が合う。決してうまいとは言えないが。そしてサビに入るといっそう気持ちをいれてくる。これを俺向けに歌ってたらどんなにいいことだろう。いや相手は幽霊だぞ。気を許して裏切られたのを忘れたか?だが歌はいい。


「どうだった?」


「最高の気分になったぞ。今まで聴いてきた君が笑む夕暮れで一番よかった。これが天使の歌声かと思ったぞ」


「もう天使だなんて照れるよ。はい次好紀君の番だよ」


ここはアニメ繋がりでアニソンを歌おう。俺はライジングホープをいれた。するとリズミカルな音が流れる。俺はたってリズムに乗る。そして歌い出す。


「握ったメッセージライジングホープ」


この歌はリズムと気持ちを意識して歌う。サビにはいると皿に気持ちをもう一段階いれて歌う音程はきにせず。そうすることで気持ちが伝わる。歌い終えると、ねるからの拍手を受ける。


「どれだけ誰かを大事にしていた気持ちか伝わってきたよ。彼女に歌ったのかな?」

 

ぐは、彼女どころか友達すらいない俺は心にダメージをおった。友達作ろうにも話題が合わないし、そもそも女子と話すの得意じゃない。ねると話せるのは幽霊だからだ。知り合いレベルのやつは一人いるが、あんなに幽霊と付き合いたいと思っている奴なんて論外だ。


「彼女がいる思うのか?」


「いないね、あのマッチングアプリをやるくらいだもんね」


即答かよ。少しは迷って欲しかった。俺だって彼女を作ろうと頑張ったんだよ。でもなや毛に幽霊に好かれるせいでいつもいい所で邪魔されて、あいつといるとポルターガイストご起こるとか言って離れていったんだよ。なんで死んでる人間には好かれるんだよ。


「ねるは俺が誰と付き合おうが邪魔しないよな?」


「そんなことしないよ。まぁ悪女だったら呪うけど。誑かすことは許せないからね」


呪うのかよ。それじゃ俺に付きまとう女子の幽霊どもを成仏させてくれ。結界の外に結構な数の女子の幽霊がいる。ねるを恨めしそうに見てるが、ねるは全くきに止めないで曲を選んでいる。よほど呪術に自信があるのだろう。


羨ましいよ。俺は幽霊でも悪霊でそれなりのレベルのやつは祓えないし。鬼や妖怪なんて持っての他だ。すると次の曲をねるはいれたチューリングラブか。この曲をねるが知ってるのに驚きだが、まぁ病院で暇だからYouTubeでも見てたんだろう。


「一緒に歌おう。この曲誰かと歌うの夢だったんだ」


「いいぞ、俺もこの曲は知っているしな」


「チューリングラブ」


そして二人で見つめあいながら歌い、少し照れた。だってこんなに美少女の目を見つめるの初めてなんだからしか仕方ないよね。それにしても俺が見た幽霊や生きてる人間の中でも一番可愛いな。ねるが生きてる人間だったら告白して振られているな。振られちゃうのかよ。その前に喋ることすらなさそうだが。歌い終わると、ねるは満足そうな顔をする。


「私デュエットするのが夢だったんだ」


これでひとつ夢が叶ったってことか。それならこれから夢をどんどん叶えよう。そうすれば俺も死を免れることができる。彼女を作ったことなくて死ぬとか嫌だしな。


「そうか、なにか歌っていいぞ。あと窓に張り付いている幽霊をどうにかできないか?」


「できるよちょっと待っていてね」


するとねるが呪文を唱えだした。すると外に幽霊は苦しみ地上へと落ちてった。どんだけ呪力が高いんだよ。きっと健康体だったら立派な陰陽師になっていただろう。色々な人からも認められて、ちょっと羨ましく感じる。


「それじゃーキミガイナイを歌うよ」


ねるは自分で操作をして曲をいれた。ものに簡単に触れられるようになったんだな。改めてその慣れるスピードに脱帽するわ。そしてキミガイナイが流れる。この曲は俺も知っている。


「長い夜は口を閉ざし♪」


この曲はいいよな。喧嘩をしたけど、仲直りしたい。、だけど自分から謝りたけないという感情家伝わってくる。そして何より孤独を感じているのが辛いというのがある。孤独は辛いその子もちはボッチである俺には分かる。


「ふぅー歌い終わったよ」


「いい歌だったな。んじゃ俺は半信半疑でも歌うか」


この自分のことが信じられないという曲だ。自分の視線を隠したいというのはなにかそれで起こるのが嫌なんだろう。告白もされたが傷つきたくないから断っている。モテてるのが羨ましいが、自弁に自信がなく信じられないっていうのは俺にも当てはまるからこの曲が好きなんだ。


曲が流れたし歌うか。


「愛想いいタイプじゃない。分かってて欲しいと思わない」


サビは感情を込めて歌った。本当は人を信じたいという気持ちをのせて。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幽霊の君に恋をする 作家目指すもの @Ronisei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ