第11話 実録‼ ツチノコの話 〔祝!復活‼〕


 こんにちは。御無沙汰しております。


 皆さんツチノコは御存じですよね。十年くらい前になりますが、近所にある母の実家の菩提寺に家族でお墓参りに行ったら、入り口に「ツチノコ出ました」という看板が住職さんの手書きのツチノコのイラストを添えて立てられていました。未だ誰も実在を証明していないにもかかわらずこれほどに皆さんの身近に寄り添う生き物であるところのツチノコが今回のお話。


 ツチノコと母の話で思い出しましたが、以前他の話でも触れた通り、香竹の母は大変好奇心の旺盛な人で、去年の夏に防波堤で釣りをしたらドンコ(エゾイソアイナメとも呼びます。肝がとっても美味しいです)が沢山釣れたのですが、でろーんとした見た目がなんかツチノコっぽいなあとふと思い、母に「ツチノコGet( ゚Д゚)ノ」と画像付きでline送ろうとしたらうっかり画像添付し忘れて本文だけ送ってしまい、それ見た母が、夕方香竹が帰ってくるやいなや「ツチノコはどれ⁉ 早く見せるわさ!」とすっ飛んできたのは今では眩しい夏の思い出。


 それはさておき、また話は少し脱線しますが、以前読者様から頂いたコメントへの返信でも書いたことがありますが、これも何年か前の昼下がりに、会議が終わって事務所の外に出たところ、同じ会議に出席していた別の部署の部長が普段我々下々の者共には決して見せぬ程怯えた顔で何やら入口の脇を指さしている。見ると、まるまる太った立派な栗虫(スズメガの幼虫。ぜひ画像検索してみて。成虫も可愛いよ♡)がデンと鎮座していた。香竹が抓んで振り返るともう別の部署の部長は遥か彼方に走り去っていて、「まあ別の部署だしいいか」と思い栗虫掴んだままキャーキャー叫んで逃げ回る部長を駐車場の果てまで追いかけ回したことがありました。その別の部署の部長は、現在は香竹の部署の部長です。怖いなー。


 さて話を戻しますが、前にもお話した通り香竹は子供の頃は結構な野生児で、だからという訳でもないんでしょうが仕事柄わりと屋外を出歩くことが多いです。先日内科のお医者さんから脂肪肝と告げられ「オメエこれ以上呑んでたらどうなっても知らねえぞ」と呆れられるような、そんな生活習慣の積み重ねがいよいよ身体にも影響を及ぼし始める年頃になりましたが、今でも外で変なものに出くわすと無暗にテンションが上がります。

 話は数年前に遡り、その日も嘱託のおじさんと蒸し暑い真夏の最中に外回りに出ておりました。山の中なので勿論背景は山、周囲は一面の田園風景。

 二人で山沿いの田んぼの用水路付近を確認していたら、不意にがさがさと茂みが動いた。そこから聞こえるシュウー、シュウーと変な音。俄かにテンション上がる香竹。後ろで「ファ!」と変な声を上げるおじさん。

 わくわくしながら覗き込む香竹の前に、物凄い勢いで飛び足してきた子供の腕くらいあるぶっとい何かが田んぼの中に飛び込んでいく。

 コブラかと思うくらいエラを張らしたヤマカガシでした。興奮するとエラを張るらしいですが、あんなデカいの見たことない。あれは確かにお寺で見かけた人がツチノコだと思っても仕方ないよなあ。と思うくらいの迫力でした。

 いやあ、良いもの見たなあ。と感慨深く「今の見ました?」と振り返ったら嘱託のおじさんは既に遥か彼方に走り去っていました。帰りの車で聞いたところ蛇が死ぬほど嫌いだそうです。


 というような、結局ツチノコが一匹も出てこないツチノコの話。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

実録!! はなしはんぶん。 香竹薬孝 @me13064441q

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ