涙の使い方

作者 aoiaoi

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★★★ Excellent!!!

人へ死を届ける女神の葛藤を描いた作品。

神が職業として在り、その業務に疲れて酒に逃げるという設定がまず面白いです。

バーで愛の神から助言を受け、一転生き生きとし始める死の女神。
捉え方一つで、今際の際を晴れやかに送る事が出来ると気付いた彼女の献身ぶりから、ラストまでの流れが秀逸です。

短編だからと侮るなかれ。
短い中にも精緻な表現が溢れ、切なさと温かさが凝縮されています。

さらっと読めてほろりと泣ける。そんなお話を求めている方にお勧めです。

★★★ Excellent!!!

死のお迎えにいく死神と愛を届ける愛の女神。
二人が空のカクテルバーで出会う。

それぞれが苦悩や悲しみを背負いながらも、その仕事をしなければならない。

果たして、どちらが人間にとって幸福をもたらす神なのか……。

どちらも人間には必要な神であることにはかわりはありません。

『あなたのおかげで――私は、幸せになれた。――ありがとう』
穏やかな最期……。
老人のありがとうの言葉が全てを物語っている気がします。
心に沁みる愛の言葉ですね。

★★★ Excellent!!!

 そらの向こうにあるカクテルバーで、ひとり静かにグラスを呷る、死神のレイ。
 その表情には、哀しみのほかにも苦悩が浮かんでいた。それは、自分の運命に抗うことができない諦めにも似た想いだった。

 そこに、愛の神が同席を提案してきた。その神は、自分の届けた愛で、ひとりの女性を死に追いやったと……。自分も、神としての宿命には抗えないのかと……。

 そんな想いを抱える愛の神が、死神に、ひとつの提案をする。
 死神に、次に手を差しのべる者のそばにいて、小さな幸せを届けてあげなさい……と。
 雲をはらい、陽の温もりを届け、その窓を尋ねるモノを呼び寄せた。

 最後の時、死神の姿が見えていないはずの人間が、幸せだったと呟く。

 せつない物語の中に、小さな、そしてかけがえのない幸せが、たくさん詰まっている。死神の苦悩が、とても優しく映る。零した涙は、とても綺麗……。