第7話
「新入生をしょうかいします」
「せんせい、ぼく、その子知ってるよ」
「正太郎君、ちょっと待っててね」
「赤家るりなさんです。みんな、よろしくね、はい、拍手」
「パチパチパチ。えっとね、瑠莉奈さんはこの間、うちのそばの大きなお家に引っ越してきたんだ」
「そう。ありがとう正太郎君、分かったわ。じゃあ、るりなさん、自己紹介してください」
「はい。私の名まえはあかいえるりなです。6才です」
「えっとね、それでね、瑠莉奈さんはお母さんがすっごい美人なんだそうです」
「ちょっとお、正太郎君。瑠莉奈さん、地味だからへんにきこえるでしょ」
ルンルンが言った。
「いいんです。いつも、そう言われるから、なれっこなんです」
瑠莉奈が言った。
「ふうん、そうなんだ。でも、瑠莉奈ちゃん、かわいいよ」
「こら、正太郎。まだ、自己紹介の途中よ」
「ええと、私はこのあいだ北海道からやってきました。入院していたおじいちゃんがびょうきでしんだので、ママが会社をやらなければならなくなったんです」
「ふーん、そうなんだ。それで、パパは会社をやらないの」
正太郎が言った。
「うん。パパは去年、交通事故で死にました」
「ええっ、そうだったの」
ルンルンが驚いた顔をして言った。
「そうか、ボシカテーなんだ」
「こら、正太郎。おこるよ」
「いいんです。パパがいないのは、もう、なれました」
瑠莉奈が寂しそうに言った。
「るりなさん、ママはお仕事があるから夜は遅いんじゃないの」
アイアイが言った。
「はい、だから、いつもおばあちゃんと二人でばんごはんを食べるんです」
「そうか。おばあちゃんがいるんだ。ごめんね、ボシカテーなんて言って」
「ううん、いいの。おばあちゃんがいるから全然さびしくないの」
「そしたら、アイアイにルンルンに正太郎君、るりなさんにやさしくしてあげてね」
「ハーイ」
「そうか、わかった。じゃあ、みんなで瑠莉奈ちゃんちに遊びに行こう」
「こら、正太郎」
ルンルンが笑って言った。
「だってさ、とつぜん行ってもおやつがないといけないから、るりなちゃんにお願いして、ひどりを決めてじゅんびしておいてもらうんだよ」
「こら、正太郎」
「いいんです。うちのおばあちゃん、お菓子作りの名人なんです」
「それって、むかしのお菓子なのかなあ」
「こら」
「お菓子の先生してたそうです。海外のものとか、いろんなのがつくれるんです」
「すげーっ。いこういこう、先生もいこうよ。ねっ、ねっ、みんなでさ」
「ごめいわくじゃないかしら」
アイアイが言った。
「きっと、だいかんげいだと思います」
「わかったわ。そうしたらおばあちゃんに先生の方から電話して相談してみるわ」
「ばんざーい」
「もう」
「あっ、うしさんだ。もーう。あっ、るりなちゃん。ドーナツもお願いします」
「はい。わかりました」
もう6時 TaqAkiyama0011 @tkiwaki1105
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