記憶から喪失される男(140字小説)
塩塩塩
記憶から喪失される男
「私を覚えていないだろう」
男は続けた「私の行く先々で、必ず事件が起こる。
人が倒れる、車が衝突する…。
例えば街で私に会っても、直後に地震が起これば、地震の記憶が強烈過ぎて私の事など記憶に残らない。
慣れると気楽だがね」
その時、火事が起こり私は必死で逃げた。
今日も私は兄を思い出せない。
記憶から喪失される男(140字小説) 塩塩塩 @s-d-i-t
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