未来に虹を架ける少女

@smile_cheese

未来に虹を架ける少女

雲の上にふわりと浮かぶ虹の国。

みくに姫という背が高く美しいお姫様が暮らしていました。

みくに姫は色を失ったモノに再び色を与える不思議な力を持っていました。


みくに姫が地上の様子を観察していると、色を失った町があることに気がつきました。

その町はみくに姫が幼い頃に何度かお祭りを見に訪れたことのある町でした。

たくさんの色で溢れていた町が一体どうしてこうなってしまったのでしょうか。

みくに姫は自分の力で町に色を取り戻したいと思いました。


ふわり、ふわり。

みくに姫は魔法の傘を開きながら、ゆっくりと地上に降りていきました。

町には一本の大きな木がありました。

その木はかつて町のシンボルとされていて、たくさんの人が集まり賑わっていました。

しかし、若者たちが次々と都会に移り住むようになり、町からどんどん人がいなくなっていくと、誰もその木に集まらなくなりました。

とうとう木は色を失ってしまい、灰色の葉を付けるようになりました。

そして、ついには町全体が色を失ってしまったのでした。


みくに姫は町が再び色を取り戻す方法がないか考えました。

何かをひらめいた様子のみくに姫は、空に向かって傘を掲げるとお祈りを始めました。

すると、町にぽつりと雨が降り始めたのです。

しばらくすると雨は止み、町に大きな虹が架かりました。

みくに姫は魔法の筆を取り出すと、虹から色を分けてもらい、町のシンボルである木をきれいに彩り始めました。

灰色だった木はまるで虹のように色鮮やかな姿へと変わり、その美しさは世界中から注目されるようになりました。

こうして町は色を取り戻したのでした。

町では再びお祭りが開かれるようになり、みくに姫も幼い頃のように一緒にお祭りを楽しんだのでした。


おしまい。

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