第二次世界大戦下のラバウルで零戦のパイロットとして、激戦を生き抜いてきた青年が主人公のこの作品。
物語は主人公がアメリカ軍との交戦中に謎の虹色の雲によって、別の世界へと迷い込んでしまったことから始まります。
主人公が目を覚ますとそこは自分の知っていた世界ではなく、魔法やドラゴンが存在する不思議な世界だったのです。
零戦乗りである軍人だったというだけで特に優れた能力や凄い魔法を使える訳でもない主人公は時に迷い、時に戸惑いながらも元の世界へ戻ろうと再び、空を目指す。
竜騎士という名のパイロットとして、相棒とともに!
その流れが非常に読みやすく描かれており、旧日本軍の軍人という主人公も人間味があり、現代人にも分かりやすい人物なので親しみが持てると思います。
軍事用語がなくてもスラスラ読めて、旧日本軍でも結構フランクな感じの主人公で好感が持てた。
突飛な設定や急展開がなく、キャラの役割も明確でわかりやすい作品。
個人的な趣味嗜好としては、
せっかく「撃墜王」という題名が入って冒頭に戦闘があったらおもしろそうだおもったのに、戦闘シーンが少なく人間ドラマが大半でがっかりした。
もっと軍用機の専門知識と緊迫な戦闘シーン。
時代背景から見える主人公の人間像と異世界の人間同士の衝突や主人公の命を張っているからこそ見えてくる価値観などが作品に織り込まれればなお一層よいと感じた。
読みやすさを重視するあまり、個性を殺してしまっているから、もっと作者が自由にやりたいことを描いていいと思った。
もっと具体的な好みを言ってしまうと、作者の中で、ドラゴンとゼロ戦どっちが強いのかというif戦闘も見たいなと思ったのに、そういうこともなくドラゴンに飛び乗ってはしゃいでいるから、「旧日本軍」という設定を生かし切れていないイメージもあった。
読みやすさをこのままに重厚な設定を勉強すればものすごく化けるのではないかと感じた。
長文失礼。