好感度メーター

まわり

メーター、上昇

 日本史の授業開始から二十分ほど、教室には曇天の日のような気だるげな空気が充満している。教師は教科書を読み上げるだけ、当てられることもないのだから仕方がないだろう。

 私はさっと周りを見渡してから、机の下に隠した左手を広げた。手の上にあるのは、ペンギンのイラストが描かれたマグネット。授業前の休み時間に、島田諒太から旅行のお土産として貰ったものだ。

 私がペンギン好きなの覚えてくれてたってことだよね。

 頬の内側を甘く噛み、無意識に緩む顔を引き締めつつ、机の下のペンギンと目を合わせる。かわいい。このまんまるな瞳に心奪われない人間はいないんじゃないか。


「……三ポイントってところかな。」


 ボリュームを最大限絞った声で呟いて、そっと単語帳を取り出す。最後のページを開くと、シャーペンで書かれた「78」を消ゴムで消し、「81」に書き換えた。


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好感度メーター まわり @mawari_mao

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