第2話 捨てられた少女
ある時、感情がない少女がいました。
その少女は路地裏でひっそりと暮らしていました。
暗く、その少女だけ別世界にいるかのように灰色でした。
同じ境遇の少年少女とも仲良く出来ず、少女は一人孤独にひっそりと過ごしています。
何を見るにも灰色で少女の目には色がありません。
笑顔で歩く人々を見ると私は消えて無くなって欲しいと思ってしまいます。私は悪い子なのでしょうか?
ある時、路地裏に誰か来ました。
私は逃げる準備をします。こんな私でも死ぬのは怖くて生きたいんです。
人目見て逃げようと思ったのですが、その女性は服がボロボロになっていて、肌も泥だらけになっていて、髪もボサボサで。
でも顔立ちはとても美しく、華奢な身体で、私が見た女性の中では一番美しくかったです。
私は逃げようとしていたのを辞めました。
みんな綺麗な服を着て、笑顔で歩いているのにこの女性は服が汚くて、泣いているのです。
私と同じように感じてしまいます。
「あぁぁぁぁ!!!働く先がみづがらないい!!」
その女性は天を仰いで、悲劇のヒロインのように路地裏の床に膝をつけて泣き止みません。
私は路地裏の角から顔半分を出して様子を伺います。
金髪の長い髪を赤いリボンで後ろに束ねボサボサだが綺麗な髪。
碧眼の女性の目は純粋に透き通った目をしていた。
「「あっ」」
目があってしまった。私が隠し見ていたことがバレてしまった。
女性は私と目が合うとすぐさまこちらへと歩みを進めてくる。
「どうしてこんなところに居るの?」
女性は私のことを見つめてそう言ってくる。
路地裏なんて誰も通らないから居るのが不思議で仕方ないと思う。
それに私の姿はボロボロで泥だらけで汚い。
私は女性の返事に答えようとする。
私は親に捨てられたから...
と口にしようと何度も何度も試してみるが声にならない。
お腹に力を入れて捻り出そうとしてもまるで声が出ない。
私は声を失ってしまったのだろうか?
誰とも話していなかったから声が出ないのだろうか?
口は動くのに声が出ない。
汗が止まらない。苦しい。
私は逃げ出そうと踵を返そうとしたとき
「名前教えてくれる?私はアリス・サーシャ。異国の王女よ」
目の前のアリスと名乗った女性は私の手を握りしめてそう言いました。
「はぁ、お嬢様は本当仕方ない人ですね。道行く人に声をかけても職は見つからないというのに」
このシャトラという国でお嬢様が職に就けることなんてない。みんな自分勝手で他人に施しをしない。街は笑顔で溢れかえっているが、そんなのはごく一部の人間だけだ。他の者たちはなけなしの金を握り、日々を一生懸命過ごすのにやっとなのだ。
「全くお嬢様があんなお姿になられてはリーダンベールでの王女様として示しが付きません。これはまた苦労しそうですね」
アリスの執事リース・グリーンウッドはアリスを尾行しながら観察していた。
お嬢様は職を探しておられているようで、店に入っては追い出されてを繰り返している。
私はこの国の通貨はあらかじめ国王様からいただいている。
リースは左手に持っていたバックを床に置き、開ける。中には異国のお金がたくさん入っていたり、武器なんかもあったりする。
私は袋からこの国の硬貨を手にすると
「今のお嬢様のお姿は見てられないので渡すことにしますか」
リースはアリスにこの国の硬貨を渡そうと決意する。
リースは青髪翠眼で整った顔をしている男性だ。ひとたび、街を歩くと群衆の輝いた視線がリースを離さない。黒い執事服を来て、両手には白い手袋をしている。年齢は20歳。昔からお嬢様の専属執事をしていて、身の回りの世話や雑務をこなし、お嬢様のことなら何でも知っている。
お嬢様の尾行は国王様からの意向で、「娘は一度言い出したら聞かないもんだから、納得いくまで付き合ってくれ」と私に仰ったので従うしかないので、今日も今日とてお嬢様から目を逸らしません。
お嬢様が旅をしてのんびり農家でもやる物語〜自国が嫌になったので旅をしながら逃げ続けます〜こっそり執事がついてくる。 神崎夜一 @guiltycrow
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