第3話 街


 桂は対人戦闘でよく使用される飛行魔法を使った。 


 この飛行魔法もウォーターランス同様ストーリーをすすめることで入手できる魔法だ。


 桂は初めての空に興奮していた。


「おお!これが空か〜!修学旅行で飛行機の中から見た景色とも違う。鳥はこんな清々しい気持ちで空飛んでるのか」


 桂が辺りを見回すと、とても遠くにほんの少し城壁のようなものが見えた。


「とりあえずは街だな。街の中に入るときの金銭はユニオンのやつでいけるのか」


「考えていても仕方ない街まで行ってみるか。」


 一人暮らしで多くなった独り言をぶつぶつ言うと桂は街に向かって飛び始めた。


 空から見えた城壁は思ったより遠いようで二十分ほど飛び続けてようやく森の終わりが見てきた。


「ふぅ。ようやく街の近くか」


 飛行魔法を使ってる際に桂は気づいてしまった。

 ユニオンの中では使用回数、使用時間があるにも関わらずそれが見当たらないのだ。


 そしてその代わりか体感で使用できる時間が分かったのだ。


「うむ…飛行魔法を使ってると少しずつ体の中から何が減っていってた。あれは魔力かなにかか?…」


 ぶつくさ言いながら城壁の近くにあった門に向かう桂。


 そしてそんな桂が空から飛んできていたのを見ているものがいた。


 桂が目指した辺境の街「ヴィオラ」の門番の依頼を受けたドールとシーナだ。


ドールとシーナはこのヴィオラの街で唯一のAランクパーティーの「雷の牙」の一員だ。


 大掛かりな依頼が終えたことで気分転換を求めて暇だが報酬がそこそこいい門番の依頼を受けたのだ。


 暇だ暇だなどと喋っていたら現れたのがとんでもない魔力をもった桂だった。


「シーナ…あれやばくね?」


剣士であるドールにもわかるほどの圧倒的な魔力。

魔法使いのシーナにどう見えてるかわかったものではなかった。


「ドール…あいつが垂れ流してる魔力あれはレベルが違う。しかもあいつ飛行魔法を使ったあとにあの魔力量よ…戦闘になりかけたらすぐに逃げるわよ」


飛行魔法は現代では使い手がほとんどいないそれは魔力を膨大に消費するからだ。


そんな飛行魔法を使いなおかつ、ありあまる魔力を放出している桂を警戒するなと言う方が難しいことであった。



「ふぅ、ようやく門のとこまできたぞ。」


「あ、あのヴィオラの街に何かようでしょうか。」


桂が城壁を観察していると想像していたよりラフな格好をした門番が丁寧な口調で話かけてきた。


「あぁ、ここはヴィオラの街と言うんですね。ここには観光できました。」


「か、観光ですか…ち、ちなみにお伺いしますが、あなたは古来の森の方角から飛行魔法を使いこの街に来ましたよね。」


 古来の森?桂はまったく記憶に無かったがさっきいた森がそうなのかと思い答えた。


「えぇ、飛行魔法で来ましたが何か問題でも?」


「いえ!決して問題はございません。しかし飛行魔法を使ってまだ魔力に余裕があるのですね!」


 桂の疑問には剣をもった男の門番の横でずっと黙っていた杖をもった女の門番が声をかけてきた。


「そんな雑談よりそろそろ町中に入りたいのですが…通行料はいくらですか?」


桂がそう言うと慌てたような二人の門番が答えた。


「失礼しました!銀貨五枚になりますが身分証はお持ちでしょうか。なければ金貨一枚となってしまいます。」


桂はやたら声が震えてる目の前の門番たちに疑問をもちながら答えた。


「すいません、身分証もってなくてどうやって作るんですか。」


「もっとも簡単なのは冒険者ギルドです!そこで身分証を作って来てくださったら銀貨五枚を返却いたします」


 桂が質問すると男の門番は丁寧に答えてくれた。


「ありがとうございます。金貨はこれで大丈夫ですか?」


 桂はユニオンの中で一番高額だったミスリル金貨を取り出した。


 それを見た門番たちは一気に挙動不審になり二人でこそこそ話し始めた。


「シーナ!なんで金貨って言ったらミスリル金貨が出てくんだよ!」


「し、知らないわよそんなこと!大体あの人ミスリル金貨の価値絶対わかってないわよ!」


 金貨はもともと平民が二ヶ月は余裕で暮らせる額だ。


さらにその百倍それがミスリル金貨である。

もともとミスリル金貨は王族と大豪商の間でしか使わないような金貨だった。


それを目の前のよくわからない服をきた男がほいほいと出したのである。


二人の動揺も納得であった。


桂はやはりユニオンの金貨は使えないのかと痺れを切らして二人に話しかけた。


「あのこれもしかして使えませんか?」


 門番たちに尋ねると慌てて門番たちは答えてきた。


「いえ!使えるのですか、お釣りをここでは払えなく…どうしようか相談していたのです」


門番にそう答えられ安心した桂は通常の金貨でいいのではと思いアイテムボックスからだした。


「これでいいですか?」


「は、はい!これで丁度です!」


 金貨を出した桂に安堵するように男の門番

は紙を渡してきた。


「これは滞在許可証になりますのでなくさないようにお願いいたします。」


桂は金貨を渡し許可証をもらったあと思い出したように二人の門番に訪ねた。


「ちなみに二人の名前はなんて言うんてすか?」


桂がそう言うと慌てたように二人が答えた。


「俺はドールです」


と男の方が答え


「わ、私はシーナです」


と女の方が答えた。


桂は今後も合うことになるだろうとできるだけ愛想よく話しかけた。


「ドールさんに、シーナさん俺は桂と言います。説明ありがとうございました」


 そう言うと二人はようやく緊張が解けたように笑った。


「はい、私たちもよろしくお願いします」


桂は自分では気づかなかったが久しぶりの外で人と話すのに緊張し魔力をずっと放出し続けていた。なんとか話せたことに安堵すると自然と魔力も体内に戻りそのことにドールとシーナは安堵していた。


「それでは街をお楽しみください」


シーナがそう言うと桂は笑いながら


「ありがとうございます」


と答えると街の中に入った。

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ゲームを極めた男〜アプリのキャラや能力を使えるようになるチートをもらったので転移先で無双する〜 @harimanda

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