読後感は緑茶のように爽やかです!

 まず、文章はスラスラ読めました。ストーリーもすんなり入ってきます。

 設定はお茶会をする部活ということで、それが面白いというのと、特に立春・お茶丸・フミのキャラがたっている感じました。

 立春はお茶に対するうんちくとちょっとしたおバカ具合、お茶丸は昔からの立春に対する健気な気持ちと奥ゆかしさ、フミはヤンデレっぽさを感じさせつつも実はキサラギとのことを通じて成長しているという点が良かったです。

 特に立春とお茶丸のカニのシーンでは、お茶丸の性格がよく表わされていると感じました。

 また、彼らのキャラがあるからこそ、キサラギがほかの人物と比べて常識人な点は安心感があります。許婚がいるということを立春に話すシーンなど、彼の人柄が出ています。

 お茶を零して手紙が台無しになるシーンでは、筆ペンを使っているという設定がグッドです。

 新美が話したお茶を好きになる理由というのは、創作にも当てはまりそうだなぁと感じました。そして相手が変わるよりも自分が変わることの方が大切だと。おっしゃる通りだと思います。

 これはフミのキサラギに対する気持ちの変化にもつながる(かかっている)のかなと。

 また、日陰で育つ玉露は価格が高いというような話をしているシーンを読んでいて感じたのですが、玉露は価格が高くてうま味はある一方、食後に飲むならほうじ茶が向いているということもあります。

 これは飲む時の状況や好み、それぞれのお茶にはそれぞれの個性や良さもあるということでもあると思います。ですからそういったことも描かれていたら、それこそ濃い緑茶のようにもっと深みが出るかと感じました。

 そして話の最後は落ち着くところに落ち着いています。私は爽やかな気持ちになりました。