第3話 魔女の隠れ家
「やっぱりー勢いだけじゃダメですよねー…」
あの後、僕はいろんな場所を歩き回り職を探して回った。だが、案の定どうやら僕を雇う余裕がないのが今のご時世だった。今は、夕方なのか カアーカアーとカラスが鳴いている。夕焼けが街並みに映ってとてもきれいだった。日が沈んでいるからなのか、肌寒くなってきた。しかし、宿に泊まろうにも、無一文だし、八方ふさがりの僕だった。
「今日は諦めて、どこかの裏路地でどうにか過ごしますか。」
まだ、王都にきて一日しかたってないのだ。王都はとにかく広いんだし、いつか働かせてくれる所があるはずだ。大丈夫、僕ならいける。がんばれる、自分を励ましていく。そして、裏路地に入る。建物と建物間なので、暗い。まだ日が完全に落ちていないので見えるが夜になったら真っ暗だろう。少し視線を前に向けると段差があった。あそこに座って夜を過ごそう。寒さは気合とガッツで乗り切るしかないだろう。
「あとは、物騒な人とか通らないことを祈るしかないですね…」
段差に腰掛けながら、呟く。一日中歩き回ったせいか、座った瞬間に眠気が来る。
なんとか持ちこたえているが徐々に睡魔に頭を侵食されていく。そして、僕は眠りについた。
ドタドタと足音が聞こえる。眠いせいか瞼がうまく開かない。何とかして意識をはっきりせようとしても、肉体がゆうことを聞かない。
「うーんっ」
やっとの瞼が開くようになり、意識が覚醒してきた。そして足音がした方を見る。
だが暗くて何も見えない。もしかして、やばいのではないかと今更ながら気づく。こんな時間に路地裏でしかも、明かりも何にもつけてないのである。まともな一般市民ではないという確信だけが、僕が少ない情報で出した結果だった。
「あの…すみません、誰かいるんですかー」
怪しい人物に対する僕の答えは、話し合いによる命乞いだった。というか、まだ悪い人ともかぎりませんし、たまたまここが家からの近道だとか、明かりがたまたま消えたとか、多分そんなんでしょう絶対そうに決まっています。そう心の中で言い聞かせる。
「ええっ!!バレちゃった!!というか、なんでこんなところに人がいるの!!、どうしようっ!ネルちゃん!! 待ち伏せせれたのかなー 私このままだと捕まってひどいこれされますよー!!」
以外にも帰ってきた声は、かわいらしい女の子の声だった。その事実に僕はホッと胸をなでおろす。多分迷子になったのだろう。女の子は気が動転しているのか、誰もいないのに誰かと会話するように喋っていた。
「驚かせてすいません。あの、迷子になったんですか?」
こんな時間に、女の子が一人で危ないだろうと思い、声をかける。僕はここ数日たすけてもらう側だったので、何か人で助をしようという、自己満足も含みながら。
「ネルちゃんっ!!、どうしよっ!!話しかけてきたよ。 うんうん…えっ!!私にできるわけないよっ!!無理だって!!」
どうやら僕は警戒されているのか、その謎のネルちゃんとやらに相談しているようだった。というか、声がでかすぎて、普通に聞こえてくるんですけど!
「たしかに弱そうだけど~私怖いよっ!!」
しかも、僕をどうやら弱そうと判断したらしい。独り言をつぶやきながらこっちに近づいてくる。夜なのではっきりは見えないが、女の子は金色の髪色をしていた。
「あのっ、ダイジョブですか?」
頭がとは言わない。僕だって独り言は多いし、確かに会話はしなかったけど、でも世界にはいろんな人がいるのだ、ちょっと変な子ってだけだろう。
「あ、あの、ち、ちょっといいですか!!」
そういって女の子が近づいてくる。緊張しているのか、怖がっているのか、若干声が震えている。お互いあと一歩というところまでの距離になった。
「え、えいっ!!!」
「えっ!!」
そして、彼女は僕の胸らへんをたたく。僕は驚きのあまり、一歩後ずさる。いきなりなんですか、と口しようとした瞬間、僕の体に異変が起きる、体中を揺さぶられるような感覚を味わいその場で倒れこむ。
「ううっ…い、一体なにをしたんですか…」
どうにかして、疑問を口に出す。女の子は、僕の姿をみて安心したようなそれでいて、申し訳なさそうな顔をしていた。僕はその場から動けずにただ這いつくばることしかできなかった。早く終わってくれと願っていると、後頭部に鋭い痛みが走り僕は気絶した。
「どうしましょうっ!!焦って連れてきてしまいました~、私は悪くないですよね!!、」
「落ち着いて、ネルちゃん。まだ、この人が悪い人とは決まってないから。
話し声が聞こてくる。ここは、どこなのだろう。目隠しをされているせいか。情報が何も入ってこない。腕動かそうにも、椅子に座らされて、両手両足を縄かなんかで縛られている。ただ、明かりがついているのかうっすらと光がみえ、寒さもない、どうやら、僕が誘拐されているのは室内のようだった。
「あの…すみません、どういう状況か説明してもらってもいいですか?」
「ひっ!!起きましたよっ!、」
「アンタ、何者なの、まさか騎士団の手先じゃないでしょうね?」
凛とした声が響く。まったく、状況がわからない。どうやら、僕は疑われているようだった。というか、騎士団とかいANNAところ
「すみません、何を勘違いしているかわかりませんが、
多分僕は、騎士団の手先じゃないですよ。」
というか、僕が騎士に見えるのだろうか。剣も持ってないし、客観的に見ても強いとはいいがたいだろう。
「じゃあ、なんであんなところにいたのよ!!、普通路地裏で明かりもつけないで過ごす人なんていないでしょ!!」
確かにそうだった。あんな、暗い路地裏にいたら怪しまれてもしょうがない。自分の不幸を呪うしかなかった。僕だって好きであんなとこにいたわけじゃないのに。というか、なぜだろう、この声に聞き覚えがあった。
「それは、僕にもいろいろあるんですよ!!、とにかく目隠しを外してください。」
僕の悲痛な叫びが届いたのか。人の気配が近づいてきて。僕の目隠しが取れる。急に光が差し込んだからか、あまりよく見えない。ようやく、慣れてきてあたりを見回す。周りには、僕を誘拐したであろう犯人がいた。一人は金髪でさっき、僕の体になにかした人だと思う。もう一人はかわいらしい顔をした女の子で、14歳ぐらいなのか、年相応の愛くるしさがあった。そして、意外にも最後の女の子と目がある。それは、僕が生き倒れたときに助けてもらった女の子だった。赤髪の女の子もこっちに気づいたのか、驚いたような顔をしている。
「あ、アンタ、今日公園で生き倒れたひとっ!!」
「知り合いなんですか?」
「アルちゃん!!何かしってるんですか!!」
どうやら、僕の容疑が晴れるのも時間の問題だろう。というか、よかった、知っている人で、ひとまず僕は安心する。
「別に知り合いじゃないわよ、生き倒れたのを助けただけよ。」
「そうなんですね。でも、一応容疑は、はれたんじゃないでしょうか。」
「いやっ!!、わかりませんよっ!!そうやって接近してきたかもしれませんよっ!」
「あのっ!!僕はただ、記憶喪失で、それで、王都にきて、職を手に入れるために来ただけです。なにかわかりませんが、僕は無罪です。」
僕が発言したことに驚いているのか、みんな僕を見る。僕だって受け身なままではいられない。早くここから抜け出さないと、一体どんな目に合わせられるかわkったもんじゃない。金髪の子が僕にしたこともわからない。まだ、世界の常識を知らなすぎるのだ。
「今日はお開きにしましょ、明日、みんな集合して考えるわよ。」
「ヒナも賛成です。もう、眠くなってきました。」
「ちょっと待ってくださいよ!!、この人どうするんですか!!」
「空いてる部屋に寝かせればいいでしょ、ダイジョブこの人私たちより、弱いから。」
赤髪の女の子が提案し、それにヒナちゃんという女の子が乗る。金髪の子は納得いってないのか、僕の方をチラチラと見てくる。というか、僕はどうなってしまうのだろうか。職を探しに来ただけなのに、厄介なことに巻き込まれている感じが否めない。
「ほらっ!!、アンタも早くしなさい!、私眠いんだから」
僕がボウっとしてる間に縄が取れていた。赤髪の女の子に急かされ、僕はついていく。そうして、空いている部屋にある、ベットにダイブした。もう、なにが起こっているか、わからない、明日のことは明日の自分にまかせよう。
本当に僕は記憶を取り戻せるのだろうか?そんなことを思いながら、眠りに入った。
ウィクストの記憶手帳 愛と勇気と希望A @01110220
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