ある日、荷物を受け取った。

@hakuyuu

第1話

 「それ」が送られてきたとき、僕は歯磨きをしている最中だった。その日は出かける用事はなかったが、いつもの癖で歯磨きをしながら寝癖を直していた。

 「ピンポーン」

 インターホンが鳴る。僕は朝7時から一体誰が何の用で来たのか疑問に思った。僕は平日休日祝日問わず夜更かしをせずしっかりと決まった時間に起きる。その方が人として健康な生活を送っていると思うし、時間を浪費してると思うことがないからだ。かと言って、こんな健康的な生活を送るのはつい半年ほど前からで、それまではとてもとは言えないが、ある程度不規則な生活を送っていた。

 そんなことを考えながら玄関へと向かう。僕の住んでいるアパートには誰が来たかをカメラで見るような機能は付いてなくて、ドアにある小さな穴から覗いて確認するしか方法はないのだ。

 小さな穴を覗いた。その中には宅配業者が立っていた。髪の短い女性だ。そこそこ若い。けど、手にはサインを記す紙しか持っていない。明るさと呼べるものはあまり感じられなかったが。こんな朝から明るい顔で来られても困る。20代後半だろうか。でも、僕はそこで新たな疑問が湧いた。ここ最近何かを買った、頼んだ記憶がないのだ。何かの不手際で僕のところへ来てしまったのだろうか。となると僕は外で立っている女性に対しどう言えばいいのだろう。最近の若い女性は何を考えているか分からない。もし頭の中で「チッ、違うのかよ。めんどくせー。」なんて思われてしまったらどうしよう。

 かと言って外でずっと待たせるわけにはいかない。既に玄関で僕がガサガサしているのは分かっているはずだ。そう思って僕はドアを開けた。

 「お届け物でーす。サインをお願いします。」

 その女性は気怠さを少し含んだような声で言った。

 宅配物はその女性の下に置いてあった。

 「僕は何かを頼んだ記憶はありません。失礼ですが、何かの間違いではないですか?」

と、僕は言った。だって、僕はそんな大きな物を頼んだ記憶がないからだ。

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