第4話 入学式
その日はお母さんが学校まで連れて行ってくれましたが、次の日からは小学校の登下校は一人で列の後ろを歩いていくことになりました。ずっと誰かと手をつないで登校することが考えられなかったので、わたしは内心ほっとしていました。
次の試練は入学式の新入生入場でした。入場行進では、男女が手をつなぎ並んで入場することになっていました。もうわたしは嫌で嫌で、どうしようかと思って相手を見ると小さなくりくり頭のクリみたいな頭をした小さな男の子でした。
「手をつないで入場するんだって」
わたしがその男の子に声をかけると
「ふうん」
男の子は何も気にした感じはありませんでした。
「だって手をつなぐんだよ」
「それが」
手なんて何の興味もなくそっけなく返事をされました。
「おまえの名前は?」
「名前って、喜島あつ子」
「お前は”あつ”だ」
いきなり男の子はわたしにあだ名を付けました。
「いや!わたしは”あっちゃん”なの」
「”あつ”の方がいいじゃん」
その男の子はわたしの服をさわると「熱(あつ)!」と言って、思いっきり手をあげ熱いものでも触ったかのような真似をしてからかいました。
「お前こそ名前は何よ!」
わたしは逆に名前でからかい返そうと名前を聞きました。
うんめいのひと もりた りの @moritarino
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