第3話 はじめての登校
そんなわたしは小学校では男の子と遊ばないことに細心の注意を払っていました。もちろん登校から、下校に至るまでです。
小学校登校最初の日、家を出ると近所の小学生が近くの通学路に集まっていました。お母さんがみんなが集まっていることろまで送ってくれました。
「よろしくね」
お母さんは登校の班長さんの背の高い小学6年生のよしお君に声をかけました。
「わかりました」
よしお君が返事をすると、笑顔でお母さんは家に戻りました。わたしは始めての登校で少し不安でした。
「いくよ」
上級生のよしお君がわたしに手を差し出しました。わたしは思わず手を後ろに回してしまいました。
「手えつなぐよ。きまりだし、車が通るから危ないよ」
わたしは手袋をつけていたので、我慢して手をつなぎました。通学路に沿って建っている数えきれないほどの電柱を見て、小学校までの道のりがとても長く感じました。まずは一本目の電柱まで我慢していようと思いました。なんとか一本目の電柱までたどり着き、次の二本目の電柱を見ると、とても遠くに見えました。いくら歩いても次の電柱が近くならずにわたしは手をつないでいることが我慢できなくなってしまいたした。
わたしは反射的によしお君の手を振り払い、下を向いて真っ赤になって家に帰ってしまいました。
「いやだ」
家にもどってきたわたしを見てお母さんはびっくりしました。
「何がいやなの。戻って来ちゃダメじゃない」
「わたし、いや」
わたしは手袋をした手を強く握り締めていました。
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