いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?

作者 栗栖蛍

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★★★ Excellent!!!

【物語は】
ある女性魔術師が、未来を垣間見たところから始まる。
それは絶望だったのだろうか。

次の場面では、ある人物が異世界に旅立とうとしていた。彼女は、ある場所の未来を救うために、仲間を追おうとしているのだ。何故なら仲間に対し、良くない未来の予言があったからだ。

しかし彼女には、異世界に向かうにあたり、心苦しいこともある。それは、自分を愛してくれる兄の存在だ。それでも彼女は使命の為に、未練を振り切り異世界へ旅立つ。
妹を失った兄には絶望しかないと思われたが、そんな彼に一筋の光が差す。
かくして異世界へ転生することとなった兄は、転生に纏わり、一つの願いを叶えて貰うこととなるのだった。

【物語・世界観の魅力】
本編に入ると、先に異世界に転生した妹視点で展開されていく。しかし彼女は高校へ入学する年になっても、自分の使命も運命も思い出せていなかった。物語は二学期から始まり、その時は刻一刻と近づいているようである。

この時点では、兄が女性として転生したかった理由が明確には分かっていない。ぼんやりと、”虫よけなのだろうか”と想像はできても。もしかしたら、もっと別の理由があるのかもしれないと感じた。

この物語の背景が分かるのは主人公と元兄たちの通う高校に、転校生がやって来てからとなる。しかしそこまでが長いというわけではなく、本編に入ると転校生がやって来る日の朝からとなるので、無駄のない流れとなる。
彼らの会話により、元の世界で何があったのか。なんのために彼らが異世界へ行かなければならなかったのか、が分かって来る。

この作品は、魔法の世界から現代の地球に転生したという世界観で展開されている。現代から、魔法の存在する異世界へ転生や転移するという作品は多いが、このタイプは珍しいと思われる。異世界転生ものでありながら、現代ファンタジーであり、魔法少女ものであるのが面白い発想だと感… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

もし、あなたという存在が生まれてくる前に別の生を謳歌し、誰かに思慕を抱き、何らかの宿命を負っていたとしたら。
そんな転生者として、この現代へやって来たのなら、それはどのような人生になるのだろうか。

この物語はヒロイン「荒助みさぎ」と、その友人であり、前世の兄である「海堂咲」などをはじめとした数多くの転生者が、
前世より続く運命に立ち向かい、またそれぞれの想いと向き合うヒューマンドラマである。

運命はあまりに過酷であり、立ち向かうべき脅威は、その命を賭す必要がある。
その時は、一日、また一日と確実に近づく中での、
少年少女の揺れ動く心理描写は繊細で、それゆえに美しい。

願わくば、彼ら彼女らが今生において幸せを手に出来ることを願いながら、物語の結末を見守りたいと思う。

★★★ Excellent!!!

思うんですけど、バトル展開になる前に、日常を積み上げるのが大事だと思うんですよね。
積み上げた日常があるからこそ、後のバトルが映えてくるわけで。

本作は「重大な使命を与えられて、現代日本に異世界から転生してきた人間」が主人公の話なんですが。
おそらく話の流れとしては最終的にバトルにはなるんでしょうけど、その前に登場人物の日常を積み上げていく展開が好感持てます。