おまけ 女神様の華麗なる一日。

・午前9時 起床。


「あの~、女神様? そろそろお布団を干したいので起きていただけますか?」

「んぁ~?」


ベッドで足を投げ出して寝ていた女神に夫人が声を掛けるが女神は寝ぼけた返事しかしない。


「あぁ、ほら折角綺麗な御髪おぐしなのに寝癖が付いていますよ?

 ほら、体を起こしてください、お直ししますから」

「んぁ~」


そのまま夫人に体を起こされて鳥の巣みたいになっている頭を櫛で梳いてもらう。


「ハイ、綺麗になりました! 朝餉はもう出来てますよ」

「んぁ~」


ポンと背中を叩かれてまるで操り人形のような足取りで食堂へと向かい、寝ぼけ眼のままもさもさと朝食を摂る。



・午前11時。


朝の稽古を終えたばかりの暗黒騎士達の前に降臨する。


「お早う御座います! さぁ、私を敬うのです人の子たちよ!」

「もう昼か」


やっと覚醒して騒ぎ出した女神を鬱陶しそうな目で見る暗黒騎士。


「そうか、もうこんな時間か…これで朝の稽古は終いだ。

 皆、うちに帰って昼を摂ってきなさい」


小規模な青空教室の様な状態になっている暗黒騎士の朝の鍛錬に参加していた村の子供達は元気に返事を返すとそれぞれ自分の家へと帰っていく。


「アレ…? あの、私を敬ってもいいんですよ?」

「ではな、時報。 と言ってもお前は朝餉を食べたばかりだろうが…」


ポツンと取り残されて自分を指さしている女神の肩を叩いて暗黒騎士も家へと帰っていく。


「あれ~?」



・午後0時。


「頂きます!!」

「何で朝を食べたばかりなのに普通に昼食も食べるのだお前は?」


普通に昼食の席に居る女神に暗黒騎士は頭を抱える。



・午後2時。


「さぁ、この女神が貴方達の悩みを聞いてあげますよ!!」


村の広場に「女神の懺悔室」と書いた看板を置いて椅子の前に座る。


「いや、せめて仕切り位用意しなさいよ…誰がそんな羞恥プレイに参加するのよ」


通りがかった魔族娘に奇行を咎められる。



・午後4時。


「癒しの光!!」

「ほぁ~、いい気持じゃあ~」


村の一軒の軒先で寝そべる老人の腰に手を当てて女神の奇跡を行使する。


「おぉ、腰痛が取れたべ! んじゃ、これはお礼の品だで」

「フフフ、貢物を捧げるのは良い事ですよ!」


腰痛を改善させたお礼に干物を貰う。



・午後7時。


「抜き足…差し足…忍び足…」


暗黒騎士の部屋に忍び込み、面白そうなものがないか物色する。


「魔族はあれで物持ちが良かったり、ポエマーだったりしますからね。

 この前の隠してあったラブレターの束は最高でした。

 そういえば、アレは何処にやったのだったか…まぁいいか!」


隠してる物がないか箪笥の裏を探る。


「フフフ…あの根性なし魔族の事、この辺にエッチな本とかを隠しているに…

 あ、本当に何かあった!」


探り当てた物を引っ張り出す。

どうやら一冊の本のようだが、中身をぺらぺらと捲ってみる。


「…何だ、日記じゃないですか…図体の割にマメですね。

 どれ、ここは女神として付け足しておいてあげましょう!」


暗黒騎士の机から勝手に羽ペンを取って書き込んでいく。


「女神さま~、そろそろお夕飯ですよ~?」


部屋の外から夫人が女神を探す声がする。


「部屋から出て行くのを見られたら厄介ですね、ここは窓から出て外から帰ってきた風を装いますか!」


日記を元あった場所に戻し、窓から脱出する。


「あら、いつの間にお外に?」

「フフフフ…それは女神のみぞ知るのです!」

「(…裸足なのに? また何か悪戯したのでしょうか?)」


偽装工作はバレバレだった。


勇者歴17年(春):めがみさんじょう!

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戦闘前に回復してくれる系ラスト前の中ボスが最初から最後までずっと居る @akinu2

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