第2話
フォームが胸ポケットから煙草を取り出し口に咥える。
「……お前も吸うか?」
「あ、いえ、煙草苦手なんで…」
「そうだったんだ。」
と言いながら咥えた煙草に火をつけ煙を吐きながら歩き始める。
アルも慌てて付いて行く。
「あー今から歩くのもダルいな……能力使ってもいいと思うか?」
「いや、能力なんてそんな簡単に使っていいものでは無いんじゃないですか?」
まるで、そう言われるのが分かっていたかのようにフォームは苦い顔をしていた。
「そんな顔しなくてもいいじゃないですか。歩いてすぐですし。」
「歩いてすぐねぇ〜。3キロ弱って遠いと思うけど。」
そう言いながらも歩き続け少し大きなビルに着いた。
ウィーンと自動ドアが開き、すぐ左にあるエレベーターに乗る。
2階のボタンを押しフォームは壁に寄り掛かりながら煙草の火を消す。
2階に着いたようでエレベーターが止まり扉が開くと夜中だと言うのにとても明るい声が響いた。
廊下一帯にその声が響くのでファームはとても嫌そうにその声の主を睨みアルはその声の主に敬礼をした。
「やぁやぁ、遅かったんやない??ファーム君そんな嫌そうな顔しなくてもええやん、アル君は敬礼やめてえぇよ。さて、お二人さん今日の報告聞かせてなぁ。」
「うるせえ。お前も嫌そうな顔されたくなかったらそのキンキン響く声どうにかしろよ。」
「そんな事言われても地声なんだから仕方ないやろ。てか、フォーム君、アル君にもそんな言い方してへんよね?」
「は?してるって言ったらどうするつもりだ?ラウ。お前のこと叩ききるぞ。」
「怒るで。新人さんなんてあんまり入ってこないんやから優しくしたってや。フォーム、一応僕が隊長なんやからお前の事こそ殺すぞ。」
そんな言い合いが始まるがそれはいつもの事なのでアルは慣れた手つきでお茶を入れ始める。
「あの、お茶を飲んで御二方とも落ち着いてください。」
そう言いながらテーブルにお茶を出すと満足そうに目を細めながら椅子に座り始めるラウと納得のいかなそうな顔をしながらも椅子に座るフォーム。
その様子を眺めながらラウが口を開く。
「ま、今日の報告なんて言ったけど視てたからやらんくてええや。」
「そんなに頻繁に能力使っちゃダメなんじゃねぇのかよ。なぁ、新入り?」
突然、話を振られて驚きながらも話し始める。
「あ、確かにあんまり能力は使っては行けなかったはずです。そう、決まってたはずなので。」
「隊長やから許されてんねん。」
「そんなもんかよ。じゃあ、解散でいいのか?」
「あぁ、1つだけ。明日は忙しくなりそうだ。じゃあ、解散で。」
ラウは解散でと言った後にまた、話が始まるのは好まないので、気になってもそのまま今日は帰らなければならない。
アルは建物から出てフォームとラウがまだ出てこない事を確認すると顔を隠している紙袋を取る。
別に顔が人に見せれないほど醜い訳じゃないがあまり、自分の顔を見られるのが好きじゃなかった。
アルこと星城有翔(せいじょうあると)は何故、自分が亡者を殺す事になったのか思い出す。
亡者撲滅目録 瀬名 @Lielie
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