第3話 デボラという名の神造人間

デボラは、神造人間らしい。


全く、奴らしいな。


大切なことは、言わずに


どうでもいいことは言う。




最期まで、奴らしかった。




しかし、俺も伝えてないんだよなぁ。




前世が、魔王と恐れられた魔術師で、魔族を滅ぼした魔導王だってことを。




「しかし、いいものを手に入れた。」




「ヴィジタール様。この屋敷について、ご案内しましょうか?」と音もなくデボラが来て言った。


「いや、しなくていい。」「知識としてもらったからな。」と言いながら、頭をコツコツと叩いた。




 よし。最初に、この屋敷に頭を繋げるか。


にしても、この家自体が魔道具だとは思いもしなかった。


≪魔力線生成≫


≪手動照準≫


照準は、奴のベットにするか。


≪照準完了≫


≪接続≫


「うっ」痛い。何だこれは。頭蓋が吹き飛びそうだ。




数十秒たって、ようやくキャパに収まった。




情報が流れ込んでくる。




「理解した。」


「ところで、デボラは、これからどうする?」ずっとそばにいたデボラに声をかける。


「ええ、あなた様についていきます。」


「じゃ、その口調から直そうか。」


「はい。」「どんな口調がいいですか?」


「う~ん。ため口でいいよ」




それからというもの、デボラの矯正に時間を費やした。




§§§


「じゃあ、魔法の練習でもする?」


「はい。」


 なんか、口調治った感がしない。


「しかし、あの…。」


「そうした?」


「何歳ですか?」


「12歳だ。」


「古臭すぎません?」


 人が気にしているところを…




「よし、本家に戻るか。」と手を差し伸べると、


「なんで、手を????」あれ?常識を教えてなかったなあの野郎。




「いったことないだろう?うちの家?」


「隣の家ではないのですか?」


「隣の家は、探知のための別荘だ。」


「へ~」




「じゃ、手を取れ。」


「は~い。」




「おっと。その前に、この家を魔法の袋に入れて…。」


忘れるところだった。危ない危ない。


 ≪筋力上昇・最低出力≫


 家をつかんで、魔法の袋にドバっと入れた。




「わぁ――! 」デボラが目をキラキラさせている。


「すごいか?」


「はい❕」


 すごいらしい。ま、今の時点でこれができるのも俺だけか。




「じゃあ、転移するぞ」


転移門がないから、魔術になるのか。




≪転移・最高調整・最低出力・魔耐属性付与≫




発動!




「一瞬で着きました!」


なんか、デボラずっとテンション高いな。




「よし。デボラ、あの山に向かって最大出力で、魔法を撃ってくれ。」と、正面の山を指さしながら言った。


少し実力が知りたい。




「はいっ」




よし。もともと持ってた精霊眼で、術式を観てみるか。


『どれどれ。神階の魔術か。魔法じゃないんだ。』




説明しよう!


魔術と魔法の違いは、使い勝手の良さの差だ。


魔術は、術式は決まっていないが、できることは限られている。


しかし、魔法は何でもできる。


だが、魔法というのは相当の腕前が必要だ。


最低でも、湖を一発で蒸発させないといけない。




「うてぇーー」とデボラが叫ぶと、正面の山が半分吹き飛んだ。


切り取られたようになっていて、断面はマグマのように燃えているし、どろどろしている。




「へぇ、かなりすごいな。」




「ふふん」とあまり豊かではない胸を張って威張った。




「でも、俺の100分の1程度だな。」




「じゃあ、見せてくださいよ。魔術。」




「いや、俺が使うのは、魔法だ。」


と言うと、デボラは、ギョッとした目で見てきた。




「本当ですか?」


すんごい怪しい目だ。




「ああ、」


というと、正面の山を指さし、


≪自然物修復≫


を使った。




すると、デボラが撃つ前よりきれいになった状態になった。


もちろん、削れていない。




よし。次は、


≪神界の炎竜≫


を発動した。


すると、魔法陣が浮かび上がり、そこから、燃えている魔法文字でできた竜が生まれた。




「ええ~~~!」


 デボラが、口をあんぐり開けて、惚けている。


「何ですか師匠‼あの魔法は?」




「いつから俺は、師匠になった?」

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転生魔術師と神造人間 端山 伊紀 @iki-hayama

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