こどもむけどうわ。

ぴぴぴ

はじまり

「おかあさーん! ゆきちゃんきたよ! あけていい? 」

お母さんを大きな声でよんだ。今日はずっと楽しみにしていた、ゆきちゃんとのおとまり会の日だ。あけていいよ、とお母さんからの返事を聞いて、げんかんまで走っていく。

「ゆきちゃんいらっしゃい! まってたよ! 」

「お邪魔します。すみちゃん久しぶり! 」

よっ、とかるく手をあげたゆきちゃんは、前に来たときよりせが高くなっていた。いいなぁ。

「なんかお話思いついた? 」

うきうきしながらゆきちゃんに聞いてみる。今日は何個きけるかな? 

ゆきちゃんはじゃっかんなやんでから、はっ! っと顔を上げた。なにか思いついたみたい。

「今回はこわい話にしちゃおうかなぁ。」

うっ、と顔をゆがめてしまう。こわい話かぁ……でもゆきちゃんのお話だからきっと面白いはず! 

「っと、その前にお部屋に案内してもらえるかな?」


部屋にあんないした後、お母さんからよばれちゃった。下におりてきててつだいなさい! って。

「ほら、お母さんの手伝いいかないと。私も一緒に行こうか? 」

ゆきちゃんがいっしょに来てくれたらお話きけるけど、それはできない。

「ううん、だいじょうぶ。ゆきちゃんにてつだってもらうとお母さんおこっちゃうし」

私がてつだいをしているあいだ、ゆきちゃんにはしゅくだいをやっててもらうことにした。


お母さんが洗ったしょっきをふきながら昨日のこととかを話してたら、とつぜんお母さんのひょうじょうがくらくなった。

「あのね、かすみ、」

「どうしたの? 」

「実はね、ゆきちゃんはね、」

ゆきちゃんには大変なことがあったみたい。

かすみがたくさんあそんでなぐさめてあげて、って。どうしていいかわからないし、とりあえず今日はいっぱいゆきちゃんとあそぼうっと! 


おふろに入ってもうねるだけになったとき、ゆきちゃんがニヤッとわらった。

「もうそろそろいい時間だし、こわい話はじめるね?」

「うん! 」

わ……どきどきするけど楽しみ! 私はゆきちゃんが話しはじめるのをまった。

今日のゆきちゃんはちょっとだけ、話しはじめるのがおそかった。


「ある学校で流行っている遊びでね、こどもどうわっていうのがあるんだけど。深夜に学校に忍び込んで、「グリムさん、私を主人公にしてください! 」って叫ぶの。


なんでこんなものが流行りだしたかっていうと、噂好きのしずくちゃんって子によれば、『何年か前に、演劇部で主人公の役の取り合いが起きちゃったらしくて。


シンデレラらしいんだけどさ、取り合った子はどっちもかわいくて、どっちも演技がとっても上手だったから、監督の子も決め兼ねてたんだよね。

どうしてもシンデレラ役になりたかった子、名前は〇〇ちゃんって言うんだけどね?その子が私を主人公にしてください! その為なら私、何でもします!とまで監督の子に言ったんだって。強気だよねぇ。


結局その子はシンデレラ役に抜擢されたけど、全部が全部うまくはいかなかった。

まるでシンデレラの逆再生みたいに、彼女に不幸が振りかかったの。

すごく仲の良かったお姉ちゃんは亡くなった。

友達にいじめられるようになって、トイレでバケツの水を上からかけられる事もあったみたい。


彼女はあれ以来かぼちゃが食べられなくなったって話だよ。』

だって。なんで今流行りだしたのかはわからないけど、多くの生徒に知られてるのはシンデレラ役に抜擢されたってところまでなの。

だから願いが叶うおまじないとしてやっちゃう子がたくさんいたみたい。

グリムさん、の後に童話の特定の主人公の名前を呼ぶ人も多かった。恋愛ならこれ、スポーツならこれ、みたいに決まってるのもあったらしいけど、グリム童話と関係ないものまで混ざってたらしいから、その方法でやった子たちはやっぱり叶ってなかった。

噂がぼんやりしすぎてるせいで、正しい方法でおまじないをして願いを叶えられた子はそう多くはなかった。

けど、その子達にもやっぱり嫌なことが起こってる。……このお話は長いから、続きはまた明日! 」

思ってたとおりとっても面白かったけど、もうそろそろ九時だ。明日はおやすみだけど、楽しみは後にとっておこうかな? 

「うん。おやすみなさい」

ねむくなってきちゃったし、ここでおわってもらえてせいかいだったかも。

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こどもむけどうわ。 ぴぴぴ @pipipd

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