面影 おもかげ

雨世界

1 あなたにちゃんと、届いたかな?

 面影 おもかげ


 プロローグ


 ……願いは、届くかな?


 本編


 あなたにちゃんと、届いたかな?


 四季の色


 春にあなたと出会い……、

 夏に私は幽霊に出会って……、

 秋に私は自分の影と出会い……、

 冬に私は孤独(一人ぼっち)になって……、

 ……また、新しい春の季節に、私はもう一度、あなたと再会する。


 勇気の章


 今もときどき、私は私の前からいなくなってしまったあなたのことを、ふと思い出すことがあります。(……そして、ちょっとだけ泣いてしまうのです)


 ずっと言えなかったけど、僕は初めて君にあったときから、君のことが大好きだった。


「初めまして。私の名前は勇気。福田勇気って言います。これから宜しくお願いします」そう言って勇気はみんなの前でちょこんと小さな頭を下げた。


 勇気の引っ越してきた新しい町にある新しい小学校の五年二組の教室のみんながぱちぱちと拍手をしながら勇気のことを歓迎してくれる中で、一人だけとてもつまらなそうな顔をして、窓の外に目を向けている生意気そうな男の子がいた。それがあなただった。

(あなたと私の出会いは、考えてみるともしかしたら結構最悪と言ってもいい出会いだったのかもしれない。だって、私たちは出会ってすぐに、みんなの前で大げんかをしてしまったのだから)


 その生意気そうな男の子の名前は、高月千早くんと言った。


 勇気と千早くんが喧嘩をした理由。

 それは勇気がずっと大切にしていた転校してくる前の学校の教室のみんなが勇気に送ってくれた大切な贈り物の勇気の生まれ育った町の神社にある(ずっと昔からある、結構由緒ある神社だ。全国的に有名というわけではなにだけど……)お守りを千早くんが「これ、なに? つまんないもの持っているね」と言って面白半分で勇気から取り上げて、それだけではなくて、その大切な(みんなの思いのぎっしり詰まっている)お守りを教室の外に、「返してよ、それ」と言う勇気の言葉を無視して、投げ捨ててしまったからだった。


 それで勇気は完全に怒ってしまった。

 勇気と千早くんは教室の中で喧嘩になった。

 それは勇気の転校初日の出来事だった。


 それ以来、勇気はいじわるな千早くんのことが世界で一番、大嫌いになった。(泣いている勇気に千早くんは、さっきはごめんなさいって、最後まで謝ることさえしなかった。本当に嫌な人だと思った)

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