エピローグ

 魔王を倒した――と言うか、めっためたに痛めつけて封印した。


 神殺しの剣は、また封印の間に戻したけどもう二度と使いたくない。

 ただ、30倍に宿った神様は相変わらず俺の中に宿り続けている。なんでも、俺のことを気に入ってくれたらしい。


 親父は疲労とか、魔王に乗っ取られていた影響でボロ雑巾のような身体になってはいたものの何とか助けることが出来た。

「カグラ……よくぞここまで成長してくれた。僕は父親としてお前が誇らしい」と褒められたのはスゴく嬉しかった。


 ふふふっ。神殺しを、神様の協力を得て使えたし。魔王を圧倒したし。親父まで助けられた。正直我ながら天才なんじゃないかと思う。

 全てを救ってこその神子だ。今日も神様には感謝である。


 そんなこんなで親父は、傷の療養とか諸々を兼ねてお袋の実家に済むことになった。お袋も泣きながら

「カグラ、ありがとうね」って抱きしめてくれた。

 もし、親父が死んでいたら「魔王諸共殺しました」って報告しないといけなかったであろうことを考えると本当に助けられて良かったと思う。


 例え親父が死んでも、お袋はきっと「務めを果たせて立派だね」とは言ったかもしれないけどそれでも、俺の心がいたたまれなかっただろうし。


 やはり、こうして幸せな結末を迎えられたのは神様のお陰。

 日頃から神様に感謝することが、いざと言うときに助けて貰うために大事なことなのである。


 そんなこんなで、魔王を倒して一ヶ月。


 俺は四人の嫁たちと、念願のいちゃいちゃスローライフを実現していた。


 この一ヶ月、鴉が全然鳴かないのである!

 魔王が倒された影響とかで、悪魔が出なくなったのかもしれない。ここ一ヶ月でした神子らしいことなんてセント・ルーナに魔王討伐の報告をしに行ったことくらいだし。


 そんなこんなで事の顛末を教皇に話したら俺を勇者として祀ろう! とか言い出した。

 速攻で遠慮しようと思ったし、一度は断ったんだけど「魔王を倒した英雄を祀る行為は人々の不安を取り除き、悪魔の沈静化に繋がるよ」と言われたので断り切れなかった。


 恐らく、これから世界中に俺の像が置かれることだろう。

 まぁ、俺はもうこの大社でセラフィやレリアやティールやフィーネルたちといちゃいちゃ引きこもって過ごすって決めてるから、関係ない話だけど。


 正直、恥ずかしすぎてお外歩けない。


 そんなこんなで一ヶ月、俺は夢のような暮らしをしていた。


 昼頃にたらだらと起きて、セラフィが作った御飯を食べる。

 そして、だらだらと日向ぼっことかしながらお茶飲んだし嫁たちといちゃいちゃしたりして、夜御飯を食べた後は、精力的に運動に励む。神様が30倍宿っているままなので精力も満点である。

 そして、たっぷり汗をかいた後に五人でお風呂に入って寝る。


 偶に、二回戦が始まる。


 そんな生活をしているから、そろそろ誰かが身ごもっていてもおかしくない。

 子供かぁ。やっぱり舞神の神子として育てた方が良いのだろうか。……でも、もう魔王を倒したしあんな辛い訓練を施さなくても良いような気もする。


 そんな事を考えていたある日


『ガァァァ! テランが飢饉で苦しんでいる! 至急テランへ向かえ! 繰り返す、至急テランへ向かえ!』


 鴉が鳴いた。


 魔王がいなくなり、それを倒した事で世界の不安は一つ取り除かれ悪魔は減った。


 それでも、悪天候、地震、人間同士の戦争。

 人々を不安にする材料は決して魔王だけではなく、そしてなくならない。


 そして、人が強く不安を感じるとき悪魔は生じるのだ。


「はぁ、まぁ流石に使命がなくなるなんてことはないか!」


 夢の至福のスローライフが終わりを告げられたはずなのに、俺は中々に悪くない気分だった。

 転移神楽を使えるから、数時間で終わるからなのか。


 或いは、俺もこうして舞神の当主になってから神子としての自覚を持ち始めていたのか。或いは、何だかんだでいつ鴉が鳴くか解らない日常を好いていたのか。


 自分でも解らない。

 でも、


「祈祷神楽『転移の舞』」


 今日も今日とて、俺は舞神の神子としての使命を全うする。




                                  (完)

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勇者に「無能はいらない」と追放されたけど、他の仲間が全員俺についてきた件 破滅 @rito0112

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