と、しばし葛藤。まだこないだ読んだ作品にもレビューできてないのに、先にこっちにしちゃう。いや、私だから何とかなったけど、この作品はヤバい。激ヤバだ。エモさが尋常ではない。こういうのが好きな人が読んだら好きすぎて刺さりまくってしんじゃうかもしれない。そしたらレビュー書いて広めた私は共犯者。いいぞ、もっと召されろ。いやいや、私ごときが何をほざいても別にそんな影響力はないけども、召される屍がもっと見たいので、誰かすげえレビュアーが神レビューとか書いてくんねえかな。看板に偽りなしの世界観なので、興味ある人はぜひ。ぜひ。マジで。
今回示されたのは耽美なBLの世界だった。っていうか、百合の時はわかめ酒ならぬ菊酒だったり、罰当たりな金閣寺だったりしたのに、BLになった途端に天使系美少年とイケメン長髪で耽美に徹するとか、その辺に作者の性癖が垣間見えた気がしました。あくまで気がしただけですが。
まず世界観が良さ過ぎた。教会を母体にした孤児院に聖職者の先生という割と典型的なモチーフも、『青傘』というキーワードに込められた意味や、『天使』というあざとさ満載の言葉に込められた最もらしい理由付けでもって、スッキリと納得させられてしまう。仕事が細かくて惚れ惚れします。
また、世界と人間に深みがあって、しかも話が進むごとにそれが剥がされて別の側面を見せたりするから、一つまた一つと深みに沈んでいく楽しみがある。
特筆すべきは、高飛車だったカナタとヘタレだったフィズィの立ち位置に変化をもたらし、最後に『青傘』、『天使』といった象徴的なイメージを覆したところだと思います。青傘を空の青さに変えたところで結末。見事なハッピーエンドに喝采を送らざるを得ませんでした。素敵な作品をありがとうございます。
善悪とは何かを問う。答えは自分が正義で相反する他者が悪である。願いは叶わぬから生まれ叶えば願いではなくなる。その中で犠牲となった、もう関わりを持ちようもない者たちはついこの瞬間まで悪だった。今残り続けるものだけが善であり、それがどんな皮や肉をしていてもこの成り立ちの本質には言及しない。天使か悪魔かそれは重要で些末なことである。
つまり……無茶苦茶最高のこのとても食えそうにないフィズ・アランという男、最高of最高and最高ing most valuable最高だった。何を言ってるかわからねえと思うが俺だって分かんねえよ!もうどう言えばいいのか分かんないんだよ!おもしろい、それでいいじゃないか!そうだろう?和田島さん圧!?(距離詰め失礼します)