第6話 仕方

 「ねえお母さん、お母さん以外にも宇宙人は地球にいるの?」

 家に着き、夜ご飯を食べながら家族団欒の時間に突破な質問をした。どうしたんだよいきなりそんなこと聞いて、と父は馬鹿にしたがお母さんは優しく笑ってこう答えた。

 「そりゃもう、人間の髪の毛では数えられないほどにはいるよ。」

 と、なると10万人以上いるということか。多いな!お父さんと俺は顔を合わせて眉をへの字にした。

 ならお父さんとお母さんが出会ったこと自体は珍しい話でもないのか、お互い惹かれたという点では珍しいだけで。

 それから母はこれはあまり言ったらだめだけど、と小声で言ってから話した。

 「人間として過ごしたくてここに来た宇宙人が半数を占めてる。のこり半数はほとんど地球新略が目的よ。」

 怖すぎんだろ!!


 「ちなみに、宇宙人以外に人間に化けている生き物っているの?」

 とも聞いたが母はわかりやすく首を傾げた。

 そして俺は具体的にこう言った。

 「例えば星、とか?」と。

 お父さんは「なんだよそれ」と笑った、普通ならおかしい話だからそうなるのはわかっていた。けどお母さんは違った。

 「知らないだけで、あるかもしれないね。」


 近日、あかねと約束したこと。紫色の星が綺麗に消滅する、という話と関連付けずにはいられなかった。

 この事にどう関係するか色々調べた。なぜ消滅するか、紫色の星は何という星なのか、その全てが謎だった。科学者ですら『消滅』だけしか観測できなかった。

 もう一つ、関係のありそうな事を知ってる。『赤い星の消滅』だ。それについても調べたけど紫の星と結果は同じだった。

 これじゃなんの力にもなれないじゃないか、他になにか手がかりになりそうなものは無いのか?

 『赤い星』が消滅した日付も調べた。その日の新聞、ネット記事も全部。そして誰も見なさそうなネット掲示板を見つけた。

 『これ、なんかの映画撮影?』

 『予告もまだしてない映画の映像漏れてる(笑)』

 『なんかリアルで怖い_:(´ཀ`」 ∠):』

 そんなスレと一緒に1つの動画が投稿されていた。何となく気になったので再生をしてみる。

 高い所から1人の男性が撮影されている動画だ、遠いからかその容姿はしっかり確認できないが何かから逃げているように見える。撮影主が「あいつさっきから叫びながら走ってるんだけど、怖すぎ」と言った瞬間、男性はバタリと倒れて赤く発光した。そして、姿を一瞬で消した。

 撮影日時を見ると、あの『赤い星の消滅』のほんの少し前だった。

 これだ、と思いすかさず動画を保存し、もっと詳しく見た。

 至る所で止めて、再生、止めて、また再生。

 異変に気付く。光が一瞬差していた、天使的な、後光的なものなんかじゃなく、それはその男の胸を貫いていた。その刹那に男性が消えたところから光線によって姿を消したと考えた方がいい。

 圭悟に早く知らせた方がいい。もしかしたら、もしかする。安田は思った以上に危ない状況下にいるかもしれない。

 連絡しようとスマホを手に取った時、丁度圭悟から電話がかかってきた。

 「もしもし?どうした圭悟、俺も丁度伝えたいことがあったんだけど。」

 「そうなのか、じゃあタイミングがいいな。俺たち馬鹿だったぜ、こんなことに気づかないなんてさ。」

 なんだ、勿体ぶって、と思ったがそれを聞いた時あまりにも自分が節穴だったと憐れむしか無くなる。

 天体的に、科学者的に常識的に。高温になれば色が変わる星の光、紫色の星は地球からの距離的に見えない色だった。

 そう、決まっている。

 なのに科学者は発表した、『紫の星』が消滅する、見えないはずの『それ』が消滅すると。

 

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天・対・間測〜宇宙少年シリーズ〜 狗帆小月 @koki_1216

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