近づいた自衛隊

ご飯も食べ終わり、後は風呂に入って寝るだけだ。




「二人ともお風呂入ってきていいよ」




男は後でいいだろう。男は俺しかいないからもう一つの風呂は作らなかったんだ。




「いえ先に入ってください。私達時間かかっちゃうので」




「じゃあお言葉に甘えて」




俺はタオルを持って野外入浴セット2型の中に入る。




実際に入るのは初めてだ。




異世界の湯と書かれた暖簾を潜り脱衣所の天幕に入る。




シャワーなども使いやすく、久しぶりのお風呂を満喫する。




「ふぁ、やっぱり大きいお風呂はいいな」




自衛隊の駐屯地内にある浴槽も大きく、うちはタイルでできた浴槽でステンで出来た風呂よりもゆっくり出来た。




今回はブルーシートの風呂ではあるものの久しぶりの湯舟だから気持ちいい。




「はばんばばんばんばん。あいやいやいや」




この歌歌うと新隊員の頃を思い出すんだよな。




戦闘訓練で敵に牽制射撃する時に、班長にお前ら馬鹿になれって言われててこれを銃声変わりにしたっけ。




しかも班長のことフ○ーザ様とか言ってるやつもいたし、いつのまにか俺らまでギニ○ー特戦隊になってたんだよな。




「極楽極楽」




思い出にふけりながら、湯舟を堪能した。




このまま長いこと入っていたいけど、流石に後ろがつかえているからな。




もう一度シャワーを浴びて浴槽を出た。




ふと特に何もなかったと感じたのはいけないことだろうか。




なんか異世界に来てからはそう言うことが続いていたからな。もしかするとというのもあったのだが流石になかったみたいだな。




ぱっぱと着替えて、二人や隊員達にもお風呂に入るように言って俺は寝床に着くことにした。




「二人ともお風呂空いたからみんなにも声かけて入ってくれ、お風呂はしばらく撤収はしなくていいから」




「わかりました。私たちもお風呂入ってきますね」




そう言って二人は周りにも声を掛けながら浴槽へと向かう。




なんやかんやであの二人も仲良くなってるな。女同士の何かがあるんだろうな。


それに隊員達とも打ち解けてるみたいだし、俺だけハブられたりしないよな?




そんな不安を思いながら俺の天幕へと向かう。




中には簡易ベット一つと机、ライトと自衛隊としては豪華な部屋ができていた。




隣は二人の天幕で、少し離れて隊員達の天幕が建てられている。




統制された天幕はやはり自衛隊と思わせてくれた。




これから組織を大きくしていかなければならない。


その為の土台である拠点は確保した。


後は毎日16人の自衛官を呼び出す。そうすれば1ヶ月で512人で中隊がおおよそ二つほど出来上がるな。


俺は今後の事を考えながら寝袋に入った。






俺が眠って3ヶ月が過ぎた…………。




というまでは冗談だが、異世界に来てから3ヶ月が過ぎた。


その間俺たちはダンバと行き来しながら、自衛隊を育て続けようやく普通科連隊と呼べる人数に成長することが出来た。




総勢1472名。




十分連隊と言ってもいい人数だ。




第一普通科連隊を基準に作ったし、そもそも最初に作ったのでそのまま異世界自衛隊第一普通科連隊と命名した。




一等陸佐を連隊長にした組織で本部と5つの普通科中隊、それから重迫撃砲中隊で一つの部隊編成にしている。




洞窟の拠点内で一番広い広場にて現在の全隊員が集まり整列する。




「「「総司令官に対し頭ー」」」




「中」「左」「右」




俺自身敬礼をして辺りを見渡す。




流石にこれだけの人数が揃うと圧巻であった。




「「「直れ!」」」




しかしこの集まった時の敬礼には慣れないものだ。


前にも言ったが、異世界に来るまではしがない陸士だったのだ。


いきなり上の立場となったとしても俺は初級幹部教育すら受けていないからな。


当たり前だけど。




そんな事を考えながら朝礼に出る。




「総司令官登壇」




「「「気をつけ!」」」




司会に呼ばれ広場の高い位置に着く。




「総司令官訓示指揮者のみの敬礼」




「休ませ」




「「「休め!」」」




俺はまずは部隊を休ませる。




今回俺がこうして話すのは、普通科連隊の完成を宣言する為だ。


そしてこれからは他職種の育成にも取り掛かる旨を伝えたいと思っていた。




「我々が異世界に囚われ、3ヶ月が経とうとしている。今日の我らの安全保障は刻一刻とかわっている。主な脅威である魔物は諸君らの活躍によってこの辺りでは問題なく片付けられている。ありがとう。さて、話は変わり、我々異世界自衛隊はついに普通科連隊の完成をなした。これまでの諸君らの活躍によるところが大きい。それてかねて予定していたフェイズ2に移ろうと思う。今後も諸君らの活躍に期待する。以上」




「部隊気をつけ」




「「「気をつけ!」」」




「総司令官に敬礼」




「頭ー」「中」「右」「左」




「「「直れ!」」」




敬礼を受けて俺は舞台裏に戻る。




「これにて拠点朝礼を終わります。部隊は解散願います」




そして俺は街へ向かうべく準備を始めた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界転移自衛官。スキルジエイタイはよくわからんので追放します?まぁいいですけど、なら俺は自衛隊で異世界から自衛しますね。 えるあ @elua0719

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る