光と影が交わる世界で

@kain_0319

第1話 もう一つの世界

(あなたはこの世界について知っていますか?)

この世界?俺が14年育った街じゃないか、知ってるに決まってるだろ。

(本当に?)

当たり前だろ。それよりあんたはいったい誰なんだ?

(私は…)

……

 ぶるるるるるるるる

目覚ましの音が鳴った。うるさいな、もう少し寝かせてくれよ

とおもった瞬間、俺、伊藤拓也の部屋のトビラが強く開け放たれた

「いつまで寝てんの?遅刻するよ」

遅刻?今日は…がっこ、学校?

俺はあわてて飛び起き、時計を見た。

8時20分、学校始まるのが8時50分だからあと30分で身支度などをしなくて行かなくてはならない、ちなみに学校まで20分はかかる。

「ねーちゃん、なんでもっと早く起こしてくれなかったんだよ?」

「あんたがアラームかけなおすの忘れたのが悪い。大体、休日と平日で起きる時間変えるから…って喧嘩してる場合じゃないじゃん」

そうだったと感心しつつ、あわてて制服を着る。正直制服を着るのはめんどくさい、うちはブレザーなのでネクタイとかしなければいけないのが特にな

そしてすべて済ませて玄関から慌てて出発した。

「いってきまーす」


 学校になんとか間に合ったのはいいものの今日は教師がくるのおそい。

いつも時間5分前には来るのだが今日はやけに遅い。もう9時である。

「ちょ、今日先生遅くね?」

「先生が遅刻とかwww」

「私が職員室行ってみてこようか?」

などという話が聞こえる。え、俺は輪の中に入らないのかって?俺は奴らとは違うのだよ…ごめんなさい、嘘です。ぼっちですよ、なんの長所もなくいまだにねーちゃんやかーちゃんに朝起こしてもらうような奴に陽キャ人生なんて無理なんだよ

と脳内独り言してると教室のドアが開いた

「えー、みんな遅れてすまない、HRを始めるといいたいとこだがその前にひとつ転校生を紹介したい。入っていいぞ」

そうして入ってきたのは、俺の初恋にもなりそーなすごい美女だった。黒髪のロングヘアーに、整った顔立ち。まさに俺の理想であった

「えっとそれじゃ、自己紹介を頼む」

「近藤優希菜」

「えっと、それだけか?せめてよろしくぐらい言ってほしいがまあいい、席は伊藤の隣に」

彼女はすたすたと歩き、俺の隣の席へと静かに座った。

「えっと、お、おれは伊藤拓也。よろしく」

やべ、噛んだ。恥ずかしい、しにたい。

などと思いながら彼女のほうを見るとまったく気にしない様子で次の授業の準備を進めていた。さすがに無視はないだろとまじでおもった。


お昼休みになった。いつもと同じく教室の隅で静かに食べるかと思い隣の席の彼女を見てみた。席にはいない、さては購買にいったかなどと思ってるとクラスメイトが珍しく俺に声をかけてきた。

「なあ、伊藤。あの転校生なのことで頼みがある。」

へっと思った。だってボッチの俺がクラスメートから話しかけられるなんて思わないし

「あの転校生に告ってくんねーか?」

5秒のフリーズが起こった…

「な、なに言ってんだよ、おおれがこここくはくなんて」

「お前彼女のことすきだろ?」

「なななおおまえにはかんけいないだろ、それになんで俺にさせるんだよ。」

「んー、まあお前に幸せを願ってだな」

嘘だね。十中八九、罰ゲームで誰かがぶっきらぼうとぼっちをくっつけて笑いものにしようとか言う魂胆だなと理解したが、彼女に興味があるのはあれなのであえて乗ることにした。自分が変わるチャンスかもしれないし

「わ、わかったよ、放課後告白する」

「おう、がんばれよー」

そういってクラスメートの輪に帰っていった。告白か、チャンスとは思ったけど胸がはちきれそうだ。


放課後になった。近藤さんに告白しなきゃとおもいとなりに振り向くと

「あれ、近藤さんいない」

「近藤さんならさっき急いで帰ったぞ」

と後ろの席の子が教えてくれた。はや、てか俺が目をつむって決意してる感に帰っちゃったのか、はやい、はやいよ近藤さんと思ってあきらめようとした瞬間

「あきらめんのか?お前近藤さんに告白すんだろがんばれー」

「近藤さん出てからまだそんなに立ってないし、追いかければ間に合うわよ」

などとクラス中から言われるが、彼らにとってネタ話が欲しいだけなのだろう。

「わかった、追いかけるよ」

と言って、俺は逃げるように教室からでた。


「はぁ、クラスって嫌いだ。俺をネタ扱いするし…いじめないだけましなのかもだけどな」

そんなこと言ってると前のほうに近藤さんがいた。

「…いた。」

いた?なになんのことかさっぱりわからなかったが近藤さんは何かを捕まえようとしてるのか?手伝えば恋もうまくいくかもしれないと思い俺は近藤さんの後をつけることにした。

走ること20分。思えば近藤さんが何を追っかけてるのかわからない。ていうかあれは本当に追っかけてるのかもわからないと思ったとき近藤さんは路地で立ち止まり、スマホを取り出し、声を出した

「ゲートオープン」

その一声とともに近藤さんの目の前におおきなゲートが出現し、近藤さんが中に入っていった。

俺も唖然とするもそのゲートが閉まりかけたので入ることにした。


 ゲートをくぐるとそこは元居た場所とあんまり変わらなかった、空が赤いこと以外は…そういえば近藤さんはどこにいるのかなどと考えてるとすごい爆風に襲われた、

そして飛ばされた先で目の前にいたのは人ではない化け物だった。ゲームとかでよくある竜人というべき姿をした。その姿を見て俺は

「ぎゃぁぁぁぁぁ、化け物、化け物、殺されるぅぅぅぅ」

と叫び逃げようとしたが、小石でこけた。恥ずかしいな。

恥ずかしくて死にたくなるよ、一生笑いものキャラの運命なんだ、まあ命があればだけどねなどと思ってると竜人というべき姿っをした化け物は吹っ飛んだ。

そしてその竜人を吹っ飛ばしたのはなんと近藤さんだった。

「あなた確か、クラスの…」

あ、やっぱ自己紹介聞いてもらえなかったんですね。悲しくなる

「伊藤です。伊藤拓也」

「誰でもいいけど、隠れてて邪魔だから」

「はいぃ」

女の子に戦わせて自分だけ逃げるなんてあれだが、そんなこと考えてる場合じゃない。よく見れば近藤さん、なんかすごい装備していた。がっちり重量系の大剣に動きやすそうな服。

そしてあの化け物相手に一歩も引かず戦ってる。なんかすごい、ほんとに別次元の人だね。

そんなこと考えてると彼女が一気にこちらまで吹っ飛ばされてきた

「近藤さん、大丈夫ですか?」

「う、まだあなたこんなとこに、早く逃げなさい。」

「でも、近藤さんをこの場にほっておくわけには」

竜人がすごい勢いでこちらに向かってくる。今すぐ逃げたい、一人で逃げたいけど

ここで逃げたら一生後悔する。

だから、にげない。決意し近藤さんの前にたち竜人を止めようとする。せめて俺の命で近藤さん救えるなら安いかな。陰キャで何もかもいやになっていた人生を好きな人を守るために使えるなら。

「うおおおおおおおおおおおおおお」


その瞬間を俺はあのこえを再び聞いた。

(あなたはこの世界について知っていますか?)

14年住んでいたはずなのに今回はどうにもそうは答えられない。

知らない化け物がいて、転校生に命救われて…

(この世界を救う力が欲しいですか?)

この世界を救う?いや今はそんなことより、彼女を守る力が欲しい。

だから、だから

「俺に力を貸してくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


そう叫び次の瞬間化け物は凍り付いていた。そして近藤さんは驚いていた

「上級魔法 ニブルヘイム…魔力量550ないと放てない魔法、あ、あなたはいったい」

そう聞かれると俺は自信満々に笑顔で

「俺は、伊藤拓也。よろしく、近藤さん」

これが俺の始まりだった





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