おさらい会を経ての、ここに来て新たな目標の提示。
この会議は登場人物ばかりでなく、読み手の私にも重要な会議だと思いました。
この新たな目標がカッコ良いですっ。セトの大胆な発案に、驚いてしまいました。
東と西の和解。ここまでは度々ランテの思いから理解しておりましたが、そこから更に一歩踏み込んで、精霊の統合っ!
そしてこれらに反対するオルジェっ!
ここに来てオルジェが、好きになってしまいました。
若手社員が、ウチにもパソコンを導入しようと提案したら。
俺たちは600年ワープロでやって来たんだっ!と、企業内改革にごねるベテランみたいで、愛すべき石頭って感じでホッコリしてしまいます。
そして最後に、王都の人間に焦点を当てて締めくくる。
セトは何てできる男なのだろうと、拍手を送りたくなってしまいました。
セト兄さんカッコ良いっ!(☆v☆)
作者からの返信
今後の方針を決める、大事な会議でした。セトはかねてからそのことを考えていたようですが、今ここでその方向に舵を切らせたいと、勝負に出たのだと思います。
積極的に受け入れられこそしませんでしたが、一応その方向でやってみたらいいという許可は得られたので、本人はほっとしているんじゃないかな。
精霊の統合ができたらそれこそ素晴らしいんですが、上手くいくかどうか……ここからですね。
やっぱりうちはとはつんさんのそのたとえを探してくる能力の高さ、私も欲しいです! なんて可愛らしいたとえなんだ……
そう言われると、確かにオルジェちょっと可愛いじゃないか!? となってしまいます。そうか、たとえのやり方を考えたら、そのキャラクターに可愛さを持たせたりもできるのか!
セトは基本、仕事はできる方です。仕事ばかりやってきたのもあって。笑
ランテにはできないことがたくさんできるので、二人で組めば割にいい感じに補い合えるところはありますね!
いつも読んでくださりありがとうございます!
編集済
「はっ。数えるほどしか戦場に出なかったお前にしかできない提案だな。おめでたい思考で結構なことだ」
気のせいでなければ、オルジェのセトへの態度が、この前会ったときよりも露骨に辛辣になっている。聞いていると不快になって来るほどだが、セトは平静だった。
――自分もランテと同じ気持ちで「なんなんこの老害!? 何でそんなケンカ腰やねん!」って思うんですが、ただ、オルジェがキツイのは、この停戦案を東に持ち帰って将兵に説明しないといけないことかなぁ……と。まぁ分からないでもないんですよね……。だからオルジェ個人の態度というより、ある程度東支部全体の立場を代弁して振る舞っているところもあるんじゃないかなと思いました。
「七百年間以上、白軍と黒軍は争ってきた。確かに元を辿れば中央の指示だが、実際に戦地に立ったのは我々だ。殺された親兄弟や友の無念を晴らすため、黒軍を憎み戦地に立つ者も多い。いや、大多数がそうして戦っている。戦いを止めろと言われて納得できる者はいない。七百年の時の楔は、我々を容易く自由にはしまい」
――怒の章【Ⅲ】―2 七百年 より
激戦区に隣接している関係上、最も黒軍との戦争にリソースを投入している以上、東の将兵の黒軍への敵対意識は強く、士気の高さが却って仇に。だって、もし黒軍に占領された東の領土があったりしたら、そこを奪い返す前に戦争が終わってしまえばその土地を回復できる機会は永遠になくなるわけで。その地を追われた難民もその地に戻してあげたいし、何よりその領土を守るために死んでいった、ケルムで眠る英霊達の墓前に終戦の報告ができない……。
あと、もう一つオルジェをフォローすると、セトはオルジェに対して「黒軍との戦線を決壊させないことを最優先に考えます」と言っときながら、結果的に北が激戦区から兵を引き上げるという大きな不義理を一回やらかしてる。オルジェが「たった四人で無理じゃね?」って忠告してたにも関わらず。だからランテが感じた「この前会ったときよりも露骨に辛辣になっている」ってのは致し方ない部分はあると思うんです。セトに対して多少の失望はあったのかな? また何でもかんでも一人で重圧を背負い込もうとして、結果潰れる……ってことを繰り返すんじゃないかと厳しい目で見られるのは仕方ないかなぁ……と。やっぱり一番戦争への負担が大きい東支部の気持ちを考えると、セトへの信頼度の低下はある程度避けられないと思います。
オルジェは東支部では結構カリスマなんじゃないかと勝手に思ってるんですが、そんな彼でも支部を停戦論でまとめ上げるのは高難度ミッションではないか? オルジェの脳裏には自分が背負う東支部3000人の将兵の顔が浮かんでいるだろうから、ある程度ポーズとしてセトの提案に反発してみせる必要もあるのではと推察します。これねぇ、ホント自分がオルジェだったら、支部に帰って兵達にこの件説明するの絶対嫌です。
でも、「七百年」の回を見返すと、オルジェって「だが一つ言っておく。今の北にとってお前たちを一人でも失うことは、大きすぎる損失になろう。よく考えろ」って言っていて、本来はセトのことをすげー買ってる人なんですよね。停戦だって「黒軍側がその気になればやぶさかじゃないけど」ってスタンスなんで、この会議で決まった以上は、とりあえずは停戦の方針でセトに好きなようにやらせてやるんじゃないかとは思うんですよね。
一方で、寧ろこうなったら、親中央だった西の方が却って意見を統一するの楽そうな感じがします。もう日和見な親中央派の小物共なんて「罰を与えぬことが褒美だと思え。嫌ならティッキンケムだ」って一喝すれば従うでしょうし。従わなきゃ辞めてもらうか処罰すればいいわけで。自分達の立場は重々分かってるだろうから、自分が食っていけるだけの仕事さえもらえればある程度の冷遇・閑職は文句言わずに受け入れるでしょう。監獄に入れられた中央のルテル防衛首脳陣のようにはなりたくないでしょうから。もし新組織再編、とかなったら、さっさと自主退職しちゃう人、結構いそうですよね。西支部は貴族が多いから、中央の統制と抑圧がなくなれば、さっさと軍辞めて領地でのびのび暮らそう、とか。っていうか西の親中央派はマジでサードに感謝すべき。サードが決起せず中央に従ってたら西は多分他の支部にフルボッコにされて潰れてる。
あと、サードって割と内心セトのこと気に入ってるような気がするんですよね!自分の若い頃と重ねているような節があって。その辺、どうなんですかね?
作者からの返信
ここのオルジェ、大分冷たかったんですけど、考えてくださったように東のことを考えると、当たり前といえば当たり前の対応なんですよね。
実際黒軍はあまり攻め込みはしなかったですから、領地を奪われたということはなかったでしょうけど、戦況の悪化によって念のため村民を退避させたとか、そういうことはよくあったと思います。激戦地付近には、いくつか廃村があるイメージで書いていました。
そして、はい、何よりもこれまで死んでいった人たちのこと、その遺族のこと、そこを考えると容易く頷けないのは仕方ないことではあります。北の人間は、受け止めなくてはならないことですよね。
そうなんです。ちょっと北の人間に継続して戦わせられる状況でなかったとはいえ、そこでセトは「リエタが何とかするだろう」っていう読みを外してしまったので、信頼を損ねてしまったのは間違いありません。やはり、受け止めるべきなのだろうなと私は思っていますし、きっとセトも分かってはいると思います。ランテはそこまで考えが及んでいませんが!笑
オルジェは何よりも腕っぷしで周りを認めさせてきた人間です(とはいえ全盛期は過ぎてしまっていますが)。東は実力主義ですから、やはり腕がないとなかなか認められません。そういう点で昔からカリスマ性はあったんじゃないかなと思います。
ほんと、そうですよね……私もオルジェの立場には絶対になりたくない。
セトたちのことを買っているのは、オルジェがまずハリアルを評価していて、そのハリアルが評価している人材だからというのが前提なんですけど、北と東はよく共同演習なんかもするので、実際彼らを見かけることはあったでしょうし、見所がある若者たち、くらいの認識は持っていたと思います。
オルジェも立場上、「黒軍が向こうから折れた」という成果が欲しいのではないかなと思うんです。まあ、働きかけはこっちからするんですけど……その辺、停戦のときは上手くやらないといけないかもしれません。
いやほんとそうです。西はやりやすいと思います(「嫌ならティッキンケムだ」に笑っちゃいました。でも実際それで大部分が黙ると思います)。
そもそも仕事に熱意を持っている人間なんてほとんどいないんですけど、西には一部中央に歯向かって左遷された者たちもいますから、そういう人たちがもしかしたら気合を入れすぎてしまって争いになったりはするかもしれません。でも大変なのはそれくらいじゃないかな……
そうですね! 西の戦力だと東と北を敵に回すともうボコボコだったと思います。サードがいて初めて多少なりとも戦いの形はとれるでしょうけど、やっぱり指揮を受ける側の人間に差があり過ぎて……ほんと彼がいたことに感謝するべきだと思います。サード、やっぱり伊達に支部を取り仕切っているわけではないなと書いていて思います。
あ、それはそうですね! サードはセトを気に入っています。ただサードよりセトの方がまだ従順なところはあると思います。まあ、セトは上に恵まれていたので、反骨精神持つ必要がなかったとも言えますが。笑
丁寧に読んでくださって本当に嬉しいです! ちょっとこの先、組織を動かすことが増えて、頭がパンクしそうです。笑
いつもありがとうございます!
共通の敵の存在で、東側と手を組むというやり方自体はいいものと思いますが、オルジェの懸念するとおり簡単にはいかないでしょうね。
でも、ルノアさんやいままでのランテさんの行動、関わってきた人たちがいるので、なんとかなってほしいです。
本当にランテさんが思っているとおり、セトさんは責任感ある優秀な人ですよ。
今は大変だけど、すべてが終わったら一度ゆっくりしてほしい。( ゆっくりできない性格とは思うけど)
作者からの返信
必要に迫られているわけですから、少しは手を組みやすい状態が出来上がっていると思います。
ただ、はい、やはり何百年も対立し続けてきたのは間違いないわけで、その辺りの確執をどう乗り越えていくかは、頭の痛い問題ですね……
ルノアがこちら側に力を貸してくれるのはかなり大きいですし、それに、そうですね、ランテもまた突破口たりえるかもしれないので、この二人の働き次第、でしょうか。
セト、よく頑張っていると私も思います。ゆっくりできる状況になるように、皆で頑張っていきたいですよね……
まあでも、はい、セトは確かにゆっくりできない性格かも……笑
続きも読んでくださり、ありがとうございます!
世界を分断し果てしなく争ってきた白と黒の軍。最早、なぜ争っているかも忘れただ目の前の仇を倒し血で血を洗っているような状態。
ベイデルハルクという共通の敵の存在を示したところで共に手を取り合って、戦えるかは不安です。背を預けるには些か不安が大きいきがします。
中立的立場として、王都の人間を調停役にする。その声が響いたように感じたのはおそらく錯覚ではなく、強い気持ちと信頼があったからではないかと思います。
話術が巧みでなくとも、素直で本気でぶつかれるランテならやってくれそうだと期待してしまいます。
作者からの返信
そうなんですよね。組織としては手を組むのが妥当というのは分かっても、個人としての感情の整理がつくかはまた別問題ですから……中々難しい問題になってきそうです。
ただ、とにかく形だけでも和解しないと、いつまでも状況が変わらないのもそうでしょうから、とりあえずもし和解が叶えば、少しの進歩は見込めるのかな、とは思います(ただ最終決戦までに感情の整理が間に合うかは本当に分かりませんよね!)
ランテって疑えないようなところはありますよね。人を警戒させずに信じさせるのも、立派な長所の一つだなと感じています。でもそれって狙ってやっていないから、本当羨ましいです私。狙ってないからこそ信じられるんでしょうけど……
彼が何かを変えてくれることを期待して、私も続きを書いていこうと思います。
いつも思いを馳せて読んでくださり、本当に嬉しく思っています。ありがとうございます!
大局的に見れば、ベイデル氏を止めるか、彼に賛同するか、ということになるでしょうし、まず停戦、は妥当な方針ですよね。でも、そこに積もり積もった戦いの歴史が加わると、なかなか難しいのかな、とは思います。
戦争だけに互いとも無傷ではいられなかったでしょうし、戦いで大切な人を失ってたりすれば、そこを乗り越えて……ってもさらに難しい。そこをどう説得していくか、頑張るのはランテでしょうかね!(流れ的に)
現実でもそうですが、上がバシッと決めちゃえば方向性は決められると思うんですよね。でも、個々人それぞれから命を懸けた戦いへの協力を得られるか、はまた別の話でしょうから。
ランテも心配していろいろ勘繰ってますが、個人的にはセトさんが少し冷静になってきてるの、ユウラが希望を見せてくれたからだといいな、って思ってます。
作者からの返信
とりあえず争っている場合ではないという状況なので、そうなんです、停戦するしかないとは思うんですが……はい、簡単な話ではないので、オルジェらが渋るのも当然なのかなと思います。
ランテ、前向きでへこたれないところを買われているんでしょうけど、ただ周りは彼ほど強くないというのがちょっとネックなのかなと思って……ランテからしてみたら気にならないことも、周りの人間にとっては気になってしまうようなところがあるから、見えない綻びに足元を掬われそうで怖いんですよね。
でも、もしかしたらランテくらい影に目をくれない方がいいのかもしれません。バシッと決めてもらおうかなと思ってはいます。笑 それくらいでないと、進めないのかも。細部は周りの者がサポートしてくれれば、うまくいきそうな気もするし……
戦いに赴くかどうかは、それぞれが決めたらいいというのが、一番丸い形になるでしょうか。
セト、この辺りは割かしちゃんとやってますよね。ユウラが希望を見せたことで彼女と離れなかったことが功を奏している気は、私もしないではないです。何だかんだ機能してくれないと困る人ではあるので、頑張ってもらおうとも思っています。
いつも本当に丁寧に読んでくださり、ありがとうございます!
前に拙作へお越しいただいたときに、影へものを収納する能力が登場すると聞いてはいましたが、規模が大きくて驚きました! ルノアもといミゼの呪はすごいものばかり……彼女の必死な努力の賜物でしょうから、すごいのも当然ですね。
王都の人はいったいどんな人なのか、現状を見て何を思い、力を貸してくれるのか。そこにまず一悶着がないことを祈ります。
議会が始まってから、常に頭が回り、受け答えも難なくこなすセトもさすがの優秀さです。ただ、ランテの独白のとおりどうして自分を認められないのか、もちろん事情はあるのは承知ですが、やっぱり引っかかります。
作者からの返信
やはり長い年月生きてきましたので、呪の腕を磨く時間が豊富にあったのと、あとは人間をやめてしまっているので(この言い方だと少し語弊がありそうですが。笑)、それらの点から規格外の呪を使えているようです。努力の賜物という評価は、ミゼを喜ばせると思います! ありがとうございます。
そうですね……王都の人たちは、基本的に温厚なんですけど、悪い言い方をすれば平和に慣れてしまっているので、戦いに慣れている白軍勢のことは少し異質に見えちゃうかもしれないんですよね。その辺りで行き違いが起こらないかは少し心配かもしれません。
セトは、多分何か考えていた方が今は落ち着いているんだろうと思います。だから、この場に立てて彼にとっては良かったのかもしれません。
自己評価が低いのはもう仕方ないですが、そろそろ支部長代理として自信を持ってもらわないと……そう思えるようになるための何かが起こってくれるといいんですけど。
いつもすぐに読みに来てくださって、とても嬉しく思っています! 本当にありがとうございます。
建国の歴史が明かされ、夢中で読んでしまいました。すごい…なんて大作なんだ!!こういうの大好きです…!!
白女神対黒女神という対立構造だったので、ルテルアーノはどう関わっていたのかと思っていたのですが、白女神の領域を牛耳っていたのはベイデルハルクだったんですね。白女神は本当に傀儡というか名ばかりというか、最初からベイデルハルク対ミゼリローザだったのか…🤔
そして王都!!この前顕現したあれはまさかのレプリカで、本物はミゼの闇呪の中にあるんですね。おっと…ということはここで少し時間稼ぎができるのか。すごいなーこんな複雑に入り組んだ物語を破綻なく書けることにひたすら尊敬です。
しかし黒軍との戦いは作らされた歴史なんですもんね(/_;)真実が明かされて色々と割り切れない思いをしている人も多いだろうに、皆しっかり前を向いて戦いに挑もうとしている姿勢が美しいです。本当の戦いはこれからなんですけど、なんだかちょっとまとまりかけていて読者も気持ちが上向きになってきました(笑)
哀の章は仲間との戦いがあったり極限の選択を迫られるシーンが多かった(私はむしろ読み応えがあって大満足でしたが)けれど、楽の章に入ってからは、ベイデルハルクという大きな敵に向かって組織が一つにまとまりかけているのが嬉しいですね。
作者からの返信
花さんの、読み手を元気にする読み方が本当にすごい……と、コメントをいただくたびに感じておりました。たくさん、熱量のあるコメントをくださってありがとうございます。もう嬉しくてうれしくて、しばらくずっとハイです。笑
ルテルアーノ視点の話は、またいつか書けたらなぁとは思っているんですが、彼女も彼女で理由があった(という設定な)んです。全てはベイデルハルクが発端で、ルテルアーノは利用されてしまっただけ、とも言えるのが切ないですけども……
王都のくだりは、顕現したものは実物→そこからミゼが複製品と入れ替えた、というのを想像しています! この辺りちょっと書き方がまずかったな、と反省しているシーンでして。破綻……はないといいんですが、気づいていないだけでどこかでしていそうな気もします。何分設定が多いので、量でごまかしているところが多いのではと……笑
やることはまだまだ多すぎるし、仰るように明らかになった現実で新しいダメージを受ける人もいるんでしょうけど、目の前にやるべきことがあると気が紛れるのかもしれません。我々もそうやって日々を生きているような気もします。笑
哀は本当に哀しいところばっかの章でしたが、楽は気持ちが基本一つであるので書き手も楽ではあります。笑 割とこの喜怒哀楽の章編成、書き手の心理と似通っている部分があるかも……笑
丁寧なコメント、本当にありがとうございます!