第5話 永遠に


―――


「……え?」

「ねぇ、僕もう耐えられないんだ。二番目でもいい、浮気でいいって言ったけど、ホントはずっと嫌だった。邦宏くんの一番になりたいって思ってた。」

「……圭吾。」

「僕から始めた二人の関係だから、終わりも僕から言わせて?別れるなんてイヤだから、いっその事邦宏くんの手で僕を壊して欲しい。邦宏くんになら何をされてもかまわないから。酷い言葉で僕を罵って、あなたの好きなように抱いて、そして……その手で、僕を……」

「圭吾!」

 邦宏くんは大きい声で僕の言葉を遮ると、僕をそっと抱き寄せた。


「圭吾、そんな言葉で自分を傷付けるな。」

「邦宏くん……」

「……なんて、一番傷付けてたのは俺だよな。今まで、ごめんな……?」


 肩を掴まれて体が離れる。邦宏くんは呆然としている僕を真っ直ぐ見つめて言った。


「別れてきた。」

「え……?」

「今日、あいつと別れた。離婚届出してからここに来たんだ。」

「そんなっ!」

 僕は邦宏くんから慌てて離れると、大声でまくし立てた。


「そんな事望んでない!僕はあなたと彼女の事、別れさせようとかそんな事思った事なんて一度もないし、第一別れたって、僕たちは男同士だから幸せな未来なんて来るはずっ……」

 邦宏くんの手が僕の手をそっと包む。僕は思わず言葉に詰まった。


「ごめんな、圭吾。そんな風に思わせて。俺が一緒にいたいと思ったんだ。あいつより、お前と歩いて行きたいって。例え男同士だって、俺はお前とずっと一緒にいたい。この先も、ずっと。」

「邦宏くん…ぐすっ……」

「泣かせてごめん。あんな事言わせて、ごめん。俺にはお前を壊すなんて、ましてや殺すなんてそんな事出来ない。ずっとずっと、大切にしていきたいって思ってるんだ。圭吾、愛してるよ。」


 ぎゅっと抱き締められて、背中をぽんぽんと叩かれる。目の前がぼやけて、やがて何も見えなくなった。


 目を閉じる前に見たあの絵が、何故か輝いて見えた……




―――


 あなたの左手の指輪の跡が消えるまで、彼女の事を思い出すかも知れないけど、これでもうあなたは僕だけのあなた。


 汚くてキレイな闇の中に、一緒に堕ちていこう。


 あなたの愛に、溺れながら……




――僕と彼は、男同士だ。


 だけど僕たちは愛し合っている。


 ずっと、永遠に……



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forbidden love @horirincomic

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