第4話 ヤンキー女子はデレ損。

 放課後体育館裏。


 そこに一人の女子がいた。

 黒髪ロングの髪型で、80年代女子かというロングスカート。

 ポケットに手を突っ込んでなにやらぶつぶつつぶやいている。


 「目標をセンターに入れて…ちょどーん。」

 テンパっている少女がいた。


 「あ、悪い。遅れちゃったかな。」

 一応放課後としか聞いてないので間に合ったとか遅れたとかの判断は難しいけど。

 

 「いや、あたしも細かく時間は設定してなかったし。」

 恵は少し申し訳なさそうに答える


 「それよりわざわざ放課後に体育館裏に呼び出しって。」

 真白は闇討ちか?っていくらなんでもそれは……なんて思って

 良からぬ事を考えているとスッと何かが差し出されてくる。

 見覚えのあるそれはこの学校の生徒なら誰しもがもっているもの。


 「生徒手帳?あ、俺のか。」

 そういえば昨日ズボンのポケットに入れたまま制服に戻すの忘れていたっけと思い出す。

 乱闘の時にでも落としたのだろう。


 「あ、わざわざありがとう。」

 真白は素直に御礼を言った。

 


 「おぉぉおおぉ、おう。そそ、それとす、すまん。確認するためとはいえ、中身見よった。」

 おもむろに頭を下げる彼女に……


 「いや、別に良いよ。見ないと誰のかわからなかっただろうし。偶然同じ学校だったからこうして返せたって思えば別に良いんじゃない。」

 住所を覚えられて闇討ちされたりしたら困るけどと思ってしまったが。



 「そ、そうか。それとまだあるけ。」

 そういうと化粧でわかり辛くなってるはずなのになんだか真っ赤に見える彼女は続けた。


 「あああ、あた、あたたたたた、あたしととととどっどどどどどど、ど付き合ってください。」

 ん?ド突き合ってください?

 喧嘩?

 真白の頭には「?」マークが浮かぶ。

 首を傾けて疑問を抱きながらも考え答える。

 

 「え、痛いのは嫌だよ。」

 昨日レディースの喧嘩に参加しておいて言う言葉ではないが。


 「にゃ、にゃにぉ。何を勘違いしちょるかわからんけど、マブダチからでも良いんで付き合ってください。」


 あ、付き合ってくださいだった。

 ここで茶化してはいけない、仮にも女子が思いの丈を告白してきたのだ。

 

 「えっと、良いとか悪いの前に、これまで接点なかったのにどうして?」

 この子可愛いし見ていて楽しそうなんだけど、自分のどこをどう良いと思ったんだろうか。

 そこは当然疑問として残る。


 「昨日、あたしの財布見て普通に返してくれたし、バカにもしなかった。ヤンキーなのにキャラクターが描かれた財布なのに。」

 初見でインパクトはあっただろう。実際驚いたし、目の前で落とすところ見てなければ本人に返せていない。

 

 「お礼を言おうと海岸で……すす、素直に言えなかったのに、邪険にしなかったし。」

 あれはお礼を言おうとしていたのか。

 喧嘩を吹っかけられたのかと。

 でもぶっコロすぞって言ってなかったっけ?

 照れ隠しにもほどがあるんじゃ?

 


 「ライバルチームとの喧嘩の時、助けてくれた。メリケンで殴られたら、かか、可愛い顔にどうとか……」

 あ、うん。そうなんだよ。可愛いんだよ。見た目もだけど、なんというか醸し出す雰囲気とかそういうのも含めて。


 

 「今日だって……朝だって……」

 あれ……なんか

 

 「ぐすっ……ずっとお前の事ばかり見て、お前の事ばかり考えてたら……胸が熱くて、どきどきが早くて、見とれてたら……息するの忘れて……」

 それで、熱っぽかったのか。って息するの忘れてはまずいのではなかろうか。。


 「とにかく昨日からお前の事ばかりで飯も2杯しか食えんし。」

 え、2杯も?いつもは何杯なんだろう。

 というか……

 俺は彼女に1歩近付き、ハンカチを取り出した。


 「泣かないでくれよ。せっかくの可愛い顔が台無しだよ。」

 真白も何を言っているのだろうか。

 そんな漫画やドラマみたいなセリフ、ばっかじゃないのとこき下ろされそうである。

 

 「真白……」

 生徒手帳見たのだから名前を知っていて不思議はない。

 涙を拭いた彼女はとても綺麗で爽やかである。

 それでもまだ溢れているのだが。

 ましろも彼女が恵さんと呼ばれてるのを聞いてはいたが、お互い名乗ってなかった事に気付く。


 手渡したハンカチでまだ涙を拭いていた。

 きっと彼女は純真なんだと真白は感じている。

 ヤンキーこそやってるけど、心は少女漫画にいるような純真可憐な女の子なんだ。

 それであれば真白もきっちり返事をしなければならない。


 冗談やおちゃらけは失礼だ。


 「あの……」

 それだけで彼女は俺が何を言おうとしているのか察してくれたようだ。

  


 「恵。種田恵。思い返したら名前言っちょらんかったよ。」


 「あぁ、俺は柊真白。生徒手帳見て知ってるとは思うけど。」

 真白は意を決して答えた。

 ぐっと足に力を入れて、腹から声をだすように。


 「ごめんな……『なんでやねんっ』ぷぎゃっ」

 恵の強烈な右フックが真白の左頬を捉えた。




 ヤンキー少女、種田恵の初恋は……こうして幕を閉じ……閉じ……閉じ…


 恵「閉じさせるかゴルァ!」



――――――――――――――――――――――――――――


 後書きです。


 申し訳ありません。この後の展開がどうしても思いつきません。

 完全に見切り発車によるものと実力不足です。


 でもヤンキーがデレるからヤンデレ。


 違った形で復活させたいと思います。


 主に場所が悪かった。いくら門司生まれで九州弁理解出来るとはいっても

 聞いてて理解出来ると、喋れるは別物でした。

 標準語で書き直すにしても今からリカバリーするには厳しいかなと。


 それなら設定ほぼそのままにちょっと違う舞台でやり直した方が良いと感じました。

 ハートやコメントくださった皆様には申し訳なさと感謝と。


 似たような設定で別作品として今後生まれる可能性はあります。

 完結しそうなのが2作ありますし。


 レディースという設定は無理がありました。

 真白のごめんなさいは作者からのごめんなさいでもあります。


 そのため4話を以って一旦完結とさせていただきます。


 ありがとうございました。

 

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ヤンキー女子は純情可憐(仮) 琉水 魅希 @mikirun14

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